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石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(11)学びながら成長を
26日、神戸大学との試合は京都・西京極のたけびしスタジアム京都。
以前は西京極陸上競技場と呼ばれ、隣にはプロ野球の試合も行われた野球場や公園もある。そんな環境が市民の憩いの場にもなっている。
僕がこの公園の素晴らしさを知ったのは約33年前。朝日新聞社で働いていた時である。京都支局のデスクとして単身で赴任。紙面を作り、若い記者たちを育てる役割を担っていたが、職場でのやり取りだけではなかなか記者は育たない。若い記者たちと気持ちを通わせるための手法を考えていた時に、入社3年目の記者から提案があった。彼は大学時代、サイクリング同好会に所属し、東京の多摩川周辺を自転車で走り回っていたという。提案の内容は「2週間に一度、単身者だけで日曜日に京都市内や周辺の景勝地をめぐるサイクリングをやりませんか。僕がリーダーとして安全を確保します」。「それは面白い。僕も中学、高校時代は自転車通学。往復32キロの砂利道を走っていた男だ。支局の有志を集めて遊ぼう」。そういって若い記者に呼びかけ、それに応じた記者たちと、2週間に一度、京都市内や鴨川の上流部を走り回る「サイクリング・コンパ」を続けていた。その時に初めてこの競技場を訪れ、立派な施設であり、公園だと驚いたことを思い出す。
前書きが長くなった。試合に戻ろう。
立ち上がり。RB永井が一気に走り、あっという間に相手ゴール前11ヤード。QBのランを挟んで仕上げも永井。今度は中央を走り抜けてTD。K大西のキックも決まって7-0。文字通り「あれよあれよという間」の先制点となった。
どんな試合でも、先制すればチームは落ち着く。次の相手攻撃を守備陣が完璧に抑え、自陣45ヤード付近から再びファイターズの攻撃。今度も主役は星野弟と永井。それぞれの走りで陣地を進め、間にWR五十嵐に20ヤードと8ヤードのパスを決めて相手ゴール前に迫る。仕上げはまたも永井。ゴールまでの3ヤードを駆け抜け2本目のTD。大西キックも決まって14ー0。
次の相手攻撃を守備陣が完封。2Qに入ってもファイターズの攻勢は続く。星野がWR五十嵐、小段に立て続けにパスを通して相手ゴールに迫ると、仕上げはまたもRB永井。短い距離を確実に走ってTD。大西のキックも決まって21ー0。
攻撃が安定すると、守備にもゆとりが生まれ、そのゆとりがビッグプレーを生み出す。逆に相手は、何とかしなくては、という思いが強くなり、その分、動きが硬くなる。動きが硬くなると、捕れるボールを落としたり、相手のカバーを間違えたりすることが起きてくる。
逆に、守る側はミスを恐れず、大胆なプレーを選択することが増えてくる。この日の試合でいえば、第2Qの半ばにファイターズ守備陣が決めたパントブロックの直後に、攻撃陣が決めた星野弟からWR小段へのTDパスや、その次の神戸攻撃陣が仕掛けたパスをDB加藤が奪い取ったプレーなどがその具体例となるだろう。
攻撃と守備。まったく異なる役割を分担して戦うアメリカンフットボールではあるが、このようなプレーが目の前で展開されると、アメフットってすごい、体力と運動能力の戦いだけでなく、心と心の戦いまでを目の前に描いてくれる、すごい競技だと思ってしまう。自由な考え方に価値を置く人の多いアメリカで、このスポーツが圧倒的な人気を有するということも、なるほどと思ってしまう。
余計なことを考えているうちに試合は第3Q。相手の攻撃を守備陣が完封して迎えた後半最初の攻撃シリーズ。勢いに乗ったファイターズはパス攻撃を進める。QBが星野弟から星野兄に交代。彼が立て続けにパスを決め、自ら走って陣地を進める。わずか3プレーでTDを奪う。その姿を見て、よくぞグラウンドに戻ってくれた、と思う気持ちを共有してくださる方も多いだろう。
攻撃が頑張れば守備も頑張る。
ファイターズの得点で攻撃権が相手に移った最初のプレーで、ファイターズ守備陣にビッグプレーが飛び出した。DBの1年生、藤原が相手のパスを奪い取ったのだ。QBを務めている星野兄弟と同じ東京・足立学園の出身で、今春入学したメンバーの中でも期待された選手がインターセプト。さらに練習に励み、ファイターズ守備陣のリーダーにと願わずにはおれなかった。
彼のプレーで手にした攻撃シリーズを、ファイターズはFGで締めくくり、44ー0で試合終了。試合の展開を見ながら、続々と経験の少ないメンバーを起用し、育てようとするファイターズベンチの手法に共感させられた一戦だった。
以前は西京極陸上競技場と呼ばれ、隣にはプロ野球の試合も行われた野球場や公園もある。そんな環境が市民の憩いの場にもなっている。
僕がこの公園の素晴らしさを知ったのは約33年前。朝日新聞社で働いていた時である。京都支局のデスクとして単身で赴任。紙面を作り、若い記者たちを育てる役割を担っていたが、職場でのやり取りだけではなかなか記者は育たない。若い記者たちと気持ちを通わせるための手法を考えていた時に、入社3年目の記者から提案があった。彼は大学時代、サイクリング同好会に所属し、東京の多摩川周辺を自転車で走り回っていたという。提案の内容は「2週間に一度、単身者だけで日曜日に京都市内や周辺の景勝地をめぐるサイクリングをやりませんか。僕がリーダーとして安全を確保します」。「それは面白い。僕も中学、高校時代は自転車通学。往復32キロの砂利道を走っていた男だ。支局の有志を集めて遊ぼう」。そういって若い記者に呼びかけ、それに応じた記者たちと、2週間に一度、京都市内や鴨川の上流部を走り回る「サイクリング・コンパ」を続けていた。その時に初めてこの競技場を訪れ、立派な施設であり、公園だと驚いたことを思い出す。
前書きが長くなった。試合に戻ろう。
立ち上がり。RB永井が一気に走り、あっという間に相手ゴール前11ヤード。QBのランを挟んで仕上げも永井。今度は中央を走り抜けてTD。K大西のキックも決まって7-0。文字通り「あれよあれよという間」の先制点となった。
どんな試合でも、先制すればチームは落ち着く。次の相手攻撃を守備陣が完璧に抑え、自陣45ヤード付近から再びファイターズの攻撃。今度も主役は星野弟と永井。それぞれの走りで陣地を進め、間にWR五十嵐に20ヤードと8ヤードのパスを決めて相手ゴール前に迫る。仕上げはまたも永井。ゴールまでの3ヤードを駆け抜け2本目のTD。大西キックも決まって14ー0。
次の相手攻撃を守備陣が完封。2Qに入ってもファイターズの攻勢は続く。星野がWR五十嵐、小段に立て続けにパスを通して相手ゴールに迫ると、仕上げはまたもRB永井。短い距離を確実に走ってTD。大西のキックも決まって21ー0。
攻撃が安定すると、守備にもゆとりが生まれ、そのゆとりがビッグプレーを生み出す。逆に相手は、何とかしなくては、という思いが強くなり、その分、動きが硬くなる。動きが硬くなると、捕れるボールを落としたり、相手のカバーを間違えたりすることが起きてくる。
逆に、守る側はミスを恐れず、大胆なプレーを選択することが増えてくる。この日の試合でいえば、第2Qの半ばにファイターズ守備陣が決めたパントブロックの直後に、攻撃陣が決めた星野弟からWR小段へのTDパスや、その次の神戸攻撃陣が仕掛けたパスをDB加藤が奪い取ったプレーなどがその具体例となるだろう。
攻撃と守備。まったく異なる役割を分担して戦うアメリカンフットボールではあるが、このようなプレーが目の前で展開されると、アメフットってすごい、体力と運動能力の戦いだけでなく、心と心の戦いまでを目の前に描いてくれる、すごい競技だと思ってしまう。自由な考え方に価値を置く人の多いアメリカで、このスポーツが圧倒的な人気を有するということも、なるほどと思ってしまう。
余計なことを考えているうちに試合は第3Q。相手の攻撃を守備陣が完封して迎えた後半最初の攻撃シリーズ。勢いに乗ったファイターズはパス攻撃を進める。QBが星野弟から星野兄に交代。彼が立て続けにパスを決め、自ら走って陣地を進める。わずか3プレーでTDを奪う。その姿を見て、よくぞグラウンドに戻ってくれた、と思う気持ちを共有してくださる方も多いだろう。
攻撃が頑張れば守備も頑張る。
ファイターズの得点で攻撃権が相手に移った最初のプレーで、ファイターズ守備陣にビッグプレーが飛び出した。DBの1年生、藤原が相手のパスを奪い取ったのだ。QBを務めている星野兄弟と同じ東京・足立学園の出身で、今春入学したメンバーの中でも期待された選手がインターセプト。さらに練習に励み、ファイターズ守備陣のリーダーにと願わずにはおれなかった。
彼のプレーで手にした攻撃シリーズを、ファイターズはFGで締めくくり、44ー0で試合終了。試合の展開を見ながら、続々と経験の少ないメンバーを起用し、育てようとするファイターズベンチの手法に共感させられた一戦だった。
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