石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(2)卒業生文集
今春もまた、卒業してゆくファイターズの諸君が書いた「卒業生文集」を頂戴した。B5判、48ページ。松岡主将をはじめ、選手、スタッフの皆さんの「4年間の取り組み」「ファイターズへの思い」が、心の底から絞り出した言葉で綴られている。
最初は一気に読み終え、次はじっくりと読み返し、折に触れてまた読み返している。それぞれが素晴らしい文章である。新聞記者として45年、同時並行で大学生に文章表現を指導するようになって10年。文章を書くこと、鑑賞することについては、それなりの自負を持っている小生が読んでも、全員に「優」を進呈したい気分である。
例えば、副将の谷山君はがこんなことを書いている。「ファイターズが好きではなかった」「ファイターズの一員として勝つことに取り組んでいたことはなく、個人的に勝つこと、いいプレーをすることしかなかった」「こんなクソみたいな考えしかなく、腐っていた時期も多くあった」と下級生のころを振り返り、「しかし、最後の1年間。4年として過ごした日々の中で私は変化した」「気がつけば抱いていた不満の元凶が見えてきた。それは、何もしないのに、変わらないのに、自ら行動しないのに、不満だけは吐き、不都合だけは大声で訴える。そのうえ、チームからおいしいところだけをとろうとしていた、クズの極みである自分自身である」と自分に刃を向ける。そして最後は「自ら行動し、自ら考え、自らが変え、自らの意思でやることこそが一番重要であるということを学んだ」とまとめる。
領家杯を受賞したDBの香山君は「私は3回の終わりまでファイターズに必要ない人間だった。すべての物事をチーム単位で考えられる人間ではなかったからだ。何をするにも自分主体で考え、何かマイナスなことが起きたら、先輩や周りのせいにしようとする自分がいた。自分自身そのことに気付いていながらも、変わることにびびってしまうチキン野郎」と自らを省みる。
しかし、あるコーチとの厳しいやりとりなどから「4回になるにあたって、チキン野郎の汚名を返上しようという闘争心に火が付いた」「サッカーの本田圭介選手の『成功すれば挫折は過程に変わる。だからあきらめない』という言葉にも励まされ、どんな逆境にあってもやり続けようと思えた」。
その結果「最後の立命戦は、人生であれ以上はないというくらい楽しかった。試合前からの1分1秒が最高の瞬間だった。1年間ともに戦ってきたDEFを誇りに感じた。このままこのチームでずっとアメフトを続けたいと思った」と心情を吐露する。
ともに挫折、自己否定から始まり、自問自答、自己との格闘を通じて、最後は自分自身の成長を実感して4年間を総括する。その過程を具体的に「自らの言葉」で綴っている。それが素晴らしい。
二人だけではない。選手もトレーナーも、マネジャーも分析スタッフも、そして高等部や啓明学院のコーチ、5回生コーチも、それぞれがファイターズで学んだことや心残りだったこと、後輩に言い残したいことなどを赤裸々に綴っている。飾りもなければ、嘘もない。その文章が読む者の胸に迫る。名文というしかない。
「進化し続けるからNO1」と言い切るWR和田君。「1年間の努力を持ってすれば、社会人にも決して負けない試合ができる」「私たちのしてきた努力は正しかった。ただ、ただ勝つためにはこの努力でも足りないということも分かった」と書いた濱本君。
年間最優秀選手に選ばれ、大月杯も受賞したキッカー、パンターの大西志宜君は、3700字を超える長文の最後を「自分自身、良いキッカーパンターだったと思っているが、凄い4回生ではなかったと思う。後輩たちには、自分の信念を曲げずに、その問題から逃げずに勝負していってほしい。凄い4回生になってくれることを期待している」という言葉で締めくくる。
それぞれが凄い言葉である。これだけの自信を持って4年間の活動を振り替えることができるというのは、ただごとではない。こういうサムライたちが日本1という目標に向かって努力を重ねてきたからこそ、昨年度のファイターズは「日本1」の座にたどり着くことができた。松岡主将のいう「生きてきて初めて真の仲間ができた」「かけがえのないものを手にすることができた」のである。
文集を読みながら、卒業していく諸君がこれを座右に置き、人生の節目に読み返して、生きる糧にしてもらいたいと思った。そして後輩たちにも、来春の同じ時期に、こういう文章が書けるまでに自らを鍛え、高め続けてほしいと願っている。
最初は一気に読み終え、次はじっくりと読み返し、折に触れてまた読み返している。それぞれが素晴らしい文章である。新聞記者として45年、同時並行で大学生に文章表現を指導するようになって10年。文章を書くこと、鑑賞することについては、それなりの自負を持っている小生が読んでも、全員に「優」を進呈したい気分である。
例えば、副将の谷山君はがこんなことを書いている。「ファイターズが好きではなかった」「ファイターズの一員として勝つことに取り組んでいたことはなく、個人的に勝つこと、いいプレーをすることしかなかった」「こんなクソみたいな考えしかなく、腐っていた時期も多くあった」と下級生のころを振り返り、「しかし、最後の1年間。4年として過ごした日々の中で私は変化した」「気がつけば抱いていた不満の元凶が見えてきた。それは、何もしないのに、変わらないのに、自ら行動しないのに、不満だけは吐き、不都合だけは大声で訴える。そのうえ、チームからおいしいところだけをとろうとしていた、クズの極みである自分自身である」と自分に刃を向ける。そして最後は「自ら行動し、自ら考え、自らが変え、自らの意思でやることこそが一番重要であるということを学んだ」とまとめる。
領家杯を受賞したDBの香山君は「私は3回の終わりまでファイターズに必要ない人間だった。すべての物事をチーム単位で考えられる人間ではなかったからだ。何をするにも自分主体で考え、何かマイナスなことが起きたら、先輩や周りのせいにしようとする自分がいた。自分自身そのことに気付いていながらも、変わることにびびってしまうチキン野郎」と自らを省みる。
しかし、あるコーチとの厳しいやりとりなどから「4回になるにあたって、チキン野郎の汚名を返上しようという闘争心に火が付いた」「サッカーの本田圭介選手の『成功すれば挫折は過程に変わる。だからあきらめない』という言葉にも励まされ、どんな逆境にあってもやり続けようと思えた」。
その結果「最後の立命戦は、人生であれ以上はないというくらい楽しかった。試合前からの1分1秒が最高の瞬間だった。1年間ともに戦ってきたDEFを誇りに感じた。このままこのチームでずっとアメフトを続けたいと思った」と心情を吐露する。
ともに挫折、自己否定から始まり、自問自答、自己との格闘を通じて、最後は自分自身の成長を実感して4年間を総括する。その過程を具体的に「自らの言葉」で綴っている。それが素晴らしい。
二人だけではない。選手もトレーナーも、マネジャーも分析スタッフも、そして高等部や啓明学院のコーチ、5回生コーチも、それぞれがファイターズで学んだことや心残りだったこと、後輩に言い残したいことなどを赤裸々に綴っている。飾りもなければ、嘘もない。その文章が読む者の胸に迫る。名文というしかない。
「進化し続けるからNO1」と言い切るWR和田君。「1年間の努力を持ってすれば、社会人にも決して負けない試合ができる」「私たちのしてきた努力は正しかった。ただ、ただ勝つためにはこの努力でも足りないということも分かった」と書いた濱本君。
年間最優秀選手に選ばれ、大月杯も受賞したキッカー、パンターの大西志宜君は、3700字を超える長文の最後を「自分自身、良いキッカーパンターだったと思っているが、凄い4回生ではなかったと思う。後輩たちには、自分の信念を曲げずに、その問題から逃げずに勝負していってほしい。凄い4回生になってくれることを期待している」という言葉で締めくくる。
それぞれが凄い言葉である。これだけの自信を持って4年間の活動を振り替えることができるというのは、ただごとではない。こういうサムライたちが日本1という目標に向かって努力を重ねてきたからこそ、昨年度のファイターズは「日本1」の座にたどり着くことができた。松岡主将のいう「生きてきて初めて真の仲間ができた」「かけがえのないものを手にすることができた」のである。
文集を読みながら、卒業していく諸君がこれを座右に置き、人生の節目に読み返して、生きる糧にしてもらいたいと思った。そして後輩たちにも、来春の同じ時期に、こういう文章が書けるまでに自らを鍛え、高め続けてほしいと願っている。
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