石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(7)秋の初戦は見どころ満載
8月31日午後5時半、神戸市の王子競技場で今季関西リーグの初戦、ファイターズと甲南大学の試合が始まった。
8月も終りというのに、この時間になってもまだまだ暑い。防具をつけ、ヘルメットをかぶってグラウンドで戦う選手にとっては、相手と同時に暑さとの戦いも引き受けなければならない。
そんな厳しい条件だったが、両チームとも知恵を絞り、体力の限りを尽くして戦い、見ごたえのある試合となった。
先攻は甲南。昨年の覇者、ファイターズを相手に真っ向から立ち向かい、まずはラン攻撃でダウンを更新。この試合に向けてしっかり準備してきたことうかがえる立ち上がりとなった。
しかし、ファイターズ守備陣は慌てない。相手の工夫してきた次の攻撃にしっかり対応し、パントに追いやる。
守備が踏ん張れば、攻撃も力を発揮する。先発したQBの星野弟がWR小段にドンピシャのパスを通して一気に相手ゴール前に迫る。この好機をけがから復帰したRB永井がTDに仕上げ、K大西のキックも決まって7ー0と先手を取る。
けれども、甲南の士気は高い。工夫を凝らしたラン攻撃で即座にダウンを更新。速いテンポで攻撃を続ける。それをファイターズ守備陣が懸命に食い止め、相手の攻撃を断ち切る。
守備陣がリズムをつかむと、オフェンスのリズムもよくなる。WR五十嵐へのパス、星野のキープで陣地を進め、仕上げはRB平野への短いパス。それが決まってTD。14ー0とリードを広げる。
しかし、この日の甲南は粘り強い。能力の高いQBが自ら走り、パスを投げて陣地を進め、仕上は40ヤード近いTDパス。それが決まって14-7。ファイターズファンに向けた実況放送を担当されているメンバーからも、「やりますねえ」の声が漏れる。
けれども、やられたらやり返せ、と闘志をかき立てたのがリターナーの位置に入ったWR小段。相手のキックをゴール前でキャッチすると、即座に走り、相手守備陣をかわしながら自陣40ヤード付近まで陣地を進める。そこからQBのスクランブル、小段への短いパス、RB永井のランなどでFG圏内まで陣地を進め、仕上げはK大西のFG。ゴールまでは結構、距離があったが、さすがは場数を踏んでいる4年生。見事にそれを決めて17ー7。
後半、3Qに入ってもゲームを支配しているのはファイターズ。メンバーが限られている相手に疲労の影が差すのと反比例するように、多彩なメンバーをつぎ込んでいく。昨シーズンのけがから復帰し、WRとリターナーとの任務を完全に果たしている小段、昨季、衝撃のデビューをしながら、春の初戦であっという間に故障者入りしてしまったRB永井--。極めつけは4年生WR川崎とQB星野兄。
二人はこの日、試合終了まで残り1分半で登場。それを見た僕は一瞬、これもファンサービスのひとつか、ベンチも粋なことをやるな、と思ったが、どっこい、そんな甘ったるい話ではなかった。
相手ゴール前6ヤード。第3ダウン2ヤード。関学オフェンスとしてはおそらくこの日最後のプレー。さてどうするか。僕は即座に星野から川崎へのパスを投じ、キャッチしてくれ!と思わず拳を振り上げた。
目の前で願った通りにパスが投じられ、川崎がエンドゾーン左隅でそれを確保した。タッチダウン。まるで子供向けのおとぎ話にあるような幕切れとなった。
その場面を見て、これは二人に話を聞きたい。一緒に喜びたい。そう思ってグラウンドに駆け下り、二人の話を聞いた。
想像した通りだった。二人は足立学園(東京)、鎌倉学園(神奈川)からスポーツ選抜入試で関西学院大学に入学。同じ関東育ちということで、1年時から親しく付き合ってきた。大阪弁が標準語のようなチームに入り、みそ汁の味から道路の歩き方まで異なるような土地で互いに助け合い励ましあってチームに貢献してきた。けれども、ともに選手生命が危ぶまれるけがをして戦線から離脱。大学生の収穫期といわれる4年生になっても、試合で思い通りの活躍ができるまで我慢に我慢を重ねてきた。
そんな状況にありながら、上ケ原のグラウンドではチームのリーダーとしての役割を担い、下級生の指導にも力を尽くしてきた。
そういう姿を見てきただけに、二人のこの日の活躍はうれしかった。そんなことを告げると「今日はまだまだ回復途上。これからもしっかり鍛えて、チームのために貢献します。勝負はこれから。頑張ります!」。ともに、そう言ってニコニコとした表情を見せてくれた。
8月も終りというのに、この時間になってもまだまだ暑い。防具をつけ、ヘルメットをかぶってグラウンドで戦う選手にとっては、相手と同時に暑さとの戦いも引き受けなければならない。
そんな厳しい条件だったが、両チームとも知恵を絞り、体力の限りを尽くして戦い、見ごたえのある試合となった。
先攻は甲南。昨年の覇者、ファイターズを相手に真っ向から立ち向かい、まずはラン攻撃でダウンを更新。この試合に向けてしっかり準備してきたことうかがえる立ち上がりとなった。
しかし、ファイターズ守備陣は慌てない。相手の工夫してきた次の攻撃にしっかり対応し、パントに追いやる。
守備が踏ん張れば、攻撃も力を発揮する。先発したQBの星野弟がWR小段にドンピシャのパスを通して一気に相手ゴール前に迫る。この好機をけがから復帰したRB永井がTDに仕上げ、K大西のキックも決まって7ー0と先手を取る。
けれども、甲南の士気は高い。工夫を凝らしたラン攻撃で即座にダウンを更新。速いテンポで攻撃を続ける。それをファイターズ守備陣が懸命に食い止め、相手の攻撃を断ち切る。
守備陣がリズムをつかむと、オフェンスのリズムもよくなる。WR五十嵐へのパス、星野のキープで陣地を進め、仕上げはRB平野への短いパス。それが決まってTD。14ー0とリードを広げる。
しかし、この日の甲南は粘り強い。能力の高いQBが自ら走り、パスを投げて陣地を進め、仕上は40ヤード近いTDパス。それが決まって14-7。ファイターズファンに向けた実況放送を担当されているメンバーからも、「やりますねえ」の声が漏れる。
けれども、やられたらやり返せ、と闘志をかき立てたのがリターナーの位置に入ったWR小段。相手のキックをゴール前でキャッチすると、即座に走り、相手守備陣をかわしながら自陣40ヤード付近まで陣地を進める。そこからQBのスクランブル、小段への短いパス、RB永井のランなどでFG圏内まで陣地を進め、仕上げはK大西のFG。ゴールまでは結構、距離があったが、さすがは場数を踏んでいる4年生。見事にそれを決めて17ー7。
後半、3Qに入ってもゲームを支配しているのはファイターズ。メンバーが限られている相手に疲労の影が差すのと反比例するように、多彩なメンバーをつぎ込んでいく。昨シーズンのけがから復帰し、WRとリターナーとの任務を完全に果たしている小段、昨季、衝撃のデビューをしながら、春の初戦であっという間に故障者入りしてしまったRB永井--。極めつけは4年生WR川崎とQB星野兄。
二人はこの日、試合終了まで残り1分半で登場。それを見た僕は一瞬、これもファンサービスのひとつか、ベンチも粋なことをやるな、と思ったが、どっこい、そんな甘ったるい話ではなかった。
相手ゴール前6ヤード。第3ダウン2ヤード。関学オフェンスとしてはおそらくこの日最後のプレー。さてどうするか。僕は即座に星野から川崎へのパスを投じ、キャッチしてくれ!と思わず拳を振り上げた。
目の前で願った通りにパスが投じられ、川崎がエンドゾーン左隅でそれを確保した。タッチダウン。まるで子供向けのおとぎ話にあるような幕切れとなった。
その場面を見て、これは二人に話を聞きたい。一緒に喜びたい。そう思ってグラウンドに駆け下り、二人の話を聞いた。
想像した通りだった。二人は足立学園(東京)、鎌倉学園(神奈川)からスポーツ選抜入試で関西学院大学に入学。同じ関東育ちということで、1年時から親しく付き合ってきた。大阪弁が標準語のようなチームに入り、みそ汁の味から道路の歩き方まで異なるような土地で互いに助け合い励ましあってチームに貢献してきた。けれども、ともに選手生命が危ぶまれるけがをして戦線から離脱。大学生の収穫期といわれる4年生になっても、試合で思い通りの活躍ができるまで我慢に我慢を重ねてきた。
そんな状況にありながら、上ケ原のグラウンドではチームのリーダーとしての役割を担い、下級生の指導にも力を尽くしてきた。
そういう姿を見てきただけに、二人のこの日の活躍はうれしかった。そんなことを告げると「今日はまだまだ回復途上。これからもしっかり鍛えて、チームのために貢献します。勝負はこれから。頑張ります!」。ともに、そう言ってニコニコとした表情を見せてくれた。
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