石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(2)悔しさを糧に
7日の王子スタジアムは雨。「第1回神戸エレコムボウル」と銘打った試合の相手は、社会人のトップリーグに所属するエレコム神戸。10年近く前には、現在、ファイターズのコーチをされている香山氏が主将として活躍されていたチームであり、現在も、ファイターズの卒業生(当日の選手名簿によると、2020年卒業のOL松永、森田、22年卒業のOL朝枝、RB前田君ら)が名前を連ねている強豪である。昨年度の4年生が卒業し、メンバーが一新された2023年度ファイターズの現在地を確かめるための相手としては申し分なかろう。
朝から降り続いていた雨は、試合が進むにつれて激しさを増し、グラウンドの所々に大きな水たまりが出来ている。選手はもちろん、応援するチアリーダーや観客にとっても、最悪のコンデションだ。
グラウンドの状況が悪いと、攻める方も守る方も大きな制約を受ける。思いもよらないハプニングも起きる。それを象徴するような場面が試合早々に現れた。
立ち上がり、ファイターズの攻撃は相手の激しい動きに押され、ランも進まず、パスもままならない。一度もダウンを更新出来ないまま、攻撃権が相手に渡る。
ボールは相手ゴール前10ヤード。相手にとってはゴールポストを背負った苦しい場面だったが、好守共にメンバーのそろったラインは強力だ。右に左にと強力なラン攻撃を展開し、立て続けにダウンを更新し、あっという間にセンターラインを超えてくる。
ここは、DB波田とLB海崎の機敏な動きでなんとか食い止め、相手をパントに追いやったが、そこでとんでもないハプニングが起きた。相手がゴール際まで蹴り込んだパントが水たまりに落ちてそのまま止まってしまったのだ。タッチバックを狙ってそのボールに触れなかったリターナーをよそに、相手チームがゴール前1ヤード付近でそれを確保。そのまま相手の攻撃が続くことになったのだ。
球の勢いや落下地点から見て、必ずゴールラインを割るとみてスルーしたリターナーの判断が結果的に間違っていたのだが、当の本人を責めるのは酷な気もする場面だった。
しかし、相手にとっては思わぬご褒美。逆にファイターズはゴールを背負った苦しい位置からの攻撃を強いられる。ダウンの更新もできず、結局は相手にフィールドゴールを決められ、3点のリードを許してしまう。
第2Qに入っても、雨は激しく降り続ける。パスが投げづらいのか、互いに攻撃はランプレーが中心。ファイターズは伊丹のランを中心に陣地を進めるが、パスが機能しないから攻撃が手詰まりになる。逆に、相手は果敢にパスを投じてくる。それでもファイターズの守備陣が踏ん張り、相手に決定的なチャンスは与えない。
膠着した状況で、再びファターズにミスが出る。相手の蹴ったパントを取り損ね、ゴール前2ヤードで相手に攻撃権を与えてしまったのだ。相手にとっては思わぬプレゼントである。即座にTDに結びつけ10-0とリードを広げる。
ハーフタイムが終わっても、雨は降り続ける。雨脚はより強まり、グラウンドは水浸し。当初は双方のゴールポストの前面だけが水たまりになっていたが、後半に入ると、全面的に水が浮いている。こんなことを言っては失礼だが、スタンドで見ている当方には、試合の勝敗よりも、選手がけがなく、無事に試合を終えてくれるのを祈るような心境だ。
試合は結局、後半にもう1本のTDを決めたファイニーズが17-0で勝利。ファイターズに取っては悔いの多い敗戦となった。
試合後、ファイニーズの元主将でもある香山コーチに電話し、感想を聞いた。
最初の一言が「雨の中での試合を経験したこと、自分たちの力のない点を知ることが出来たのが今日の収穫でしょう。応援してくださるファンにとっては物足りなかったでしょうが、学生チーム相手では得られない経験をしたのだから、これを今後に生かしていかないと……」との答えが返ってきた。
その通りである。どんな相手であっても、どんな状況に置かれても、それを言い訳にせず、日々の練習に必死懸命に取り組んでこそ道は開ける。そういう意味では、雨の中、思い通りに進まなかった攻撃陣も、相手のパワーとスピードに押された守備陣も、この日の悔しい経験から学ぶことはいくつもあるはずだ。今季の開幕早々に、こうした経験が出来たことを糧として、チームに名を連ねる全員がさらなる努力を続けてくれることを期待したい。
朝から降り続いていた雨は、試合が進むにつれて激しさを増し、グラウンドの所々に大きな水たまりが出来ている。選手はもちろん、応援するチアリーダーや観客にとっても、最悪のコンデションだ。
グラウンドの状況が悪いと、攻める方も守る方も大きな制約を受ける。思いもよらないハプニングも起きる。それを象徴するような場面が試合早々に現れた。
立ち上がり、ファイターズの攻撃は相手の激しい動きに押され、ランも進まず、パスもままならない。一度もダウンを更新出来ないまま、攻撃権が相手に渡る。
ボールは相手ゴール前10ヤード。相手にとってはゴールポストを背負った苦しい場面だったが、好守共にメンバーのそろったラインは強力だ。右に左にと強力なラン攻撃を展開し、立て続けにダウンを更新し、あっという間にセンターラインを超えてくる。
ここは、DB波田とLB海崎の機敏な動きでなんとか食い止め、相手をパントに追いやったが、そこでとんでもないハプニングが起きた。相手がゴール際まで蹴り込んだパントが水たまりに落ちてそのまま止まってしまったのだ。タッチバックを狙ってそのボールに触れなかったリターナーをよそに、相手チームがゴール前1ヤード付近でそれを確保。そのまま相手の攻撃が続くことになったのだ。
球の勢いや落下地点から見て、必ずゴールラインを割るとみてスルーしたリターナーの判断が結果的に間違っていたのだが、当の本人を責めるのは酷な気もする場面だった。
しかし、相手にとっては思わぬご褒美。逆にファイターズはゴールを背負った苦しい位置からの攻撃を強いられる。ダウンの更新もできず、結局は相手にフィールドゴールを決められ、3点のリードを許してしまう。
第2Qに入っても、雨は激しく降り続ける。パスが投げづらいのか、互いに攻撃はランプレーが中心。ファイターズは伊丹のランを中心に陣地を進めるが、パスが機能しないから攻撃が手詰まりになる。逆に、相手は果敢にパスを投じてくる。それでもファイターズの守備陣が踏ん張り、相手に決定的なチャンスは与えない。
膠着した状況で、再びファターズにミスが出る。相手の蹴ったパントを取り損ね、ゴール前2ヤードで相手に攻撃権を与えてしまったのだ。相手にとっては思わぬプレゼントである。即座にTDに結びつけ10-0とリードを広げる。
ハーフタイムが終わっても、雨は降り続ける。雨脚はより強まり、グラウンドは水浸し。当初は双方のゴールポストの前面だけが水たまりになっていたが、後半に入ると、全面的に水が浮いている。こんなことを言っては失礼だが、スタンドで見ている当方には、試合の勝敗よりも、選手がけがなく、無事に試合を終えてくれるのを祈るような心境だ。
試合は結局、後半にもう1本のTDを決めたファイニーズが17-0で勝利。ファイターズに取っては悔いの多い敗戦となった。
試合後、ファイニーズの元主将でもある香山コーチに電話し、感想を聞いた。
最初の一言が「雨の中での試合を経験したこと、自分たちの力のない点を知ることが出来たのが今日の収穫でしょう。応援してくださるファンにとっては物足りなかったでしょうが、学生チーム相手では得られない経験をしたのだから、これを今後に生かしていかないと……」との答えが返ってきた。
その通りである。どんな相手であっても、どんな状況に置かれても、それを言い訳にせず、日々の練習に必死懸命に取り組んでこそ道は開ける。そういう意味では、雨の中、思い通りに進まなかった攻撃陣も、相手のパワーとスピードに押された守備陣も、この日の悔しい経験から学ぶことはいくつもあるはずだ。今季の開幕早々に、こうした経験が出来たことを糧として、チームに名を連ねる全員がさらなる努力を続けてくれることを期待したい。
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