石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(2)新戦力が次々と

投稿日時:2025/05/06(火) 08:27rss

 春シーズン2試合目の相手は京大。かつてはともに、学生アメフット界のトップを目指して闘い続けた相手である。近年は組織が強化され、練習環境も整ったファイターズが有利な戦いを続けているが、それでも「宿命のライバル」意識は存在し、秋のリーグ戦では毎年のように厳しい戦いを続けている。
 以下は余談だが、そんな京大の全盛期に、朝日新聞社会部の記者をしていた僕は、当時の水野監督に単独インタビューを敢行。「ギャングスターズはなぜ勝てるのか、その強さの秘密は」と聞いたことがある。
 その質問に対する答えは「僕は毎年、新しいシーズンが始まる前に新4年生全員と個人面談をしますが、その時に必ず聞くのが『1升瓶に1升2合の水をどうしたら入れられるか』ということです。
 もちろん、そんなことは物理的に不可能です。けれども『それは不可能です』とするようではダメです。ダメと分かっていても、なにか方法はないかと考えること、そこから道は開けると僕は考えているのです」というような話だった。
 「強力な相手に勝つためには工夫が必要。そのためには、考えて考えて考えよ、というようなことですかね」と僕が応じると「まあ、そんなことですかね」と笑っておられた。その余裕のある表情が今も忘れられない。
 スタートしたばかりの今季のファイターズがそんな遺伝子を引き継ぐ京大を相手にどんな闘いをするのか。相手はどんな仕掛けをしてくるのか。あれこれ考えているうちにキックオフ。
 立ち上がり、相手のキックがサイドラインを割り、ファイターズは自陣35ヤードからの攻撃。QB星野弟がいきなり10ヤード走ってダウンを更新。続けて今度はWR五十嵐への短いパス。さらにランとパス、QBキープを織り交ぜて攻め続け、仕上げはRB井上の中央突破でTD。大西のキックも決まって7―0。
 続く京大の攻撃を4プレーで防ぎ、再びファイターズの攻撃。パスとランを組み合わせて陣地を進めるが、相手の守備も堅く、追加点は遠い。
 守備が堅いのはファイターズも同様だ。DB城島が鋭い出足で立て続けに相手の動きを止め、陣地の回復を許さない。双方が守りあう展開で前半終了。
 後半に入ると、ファイターズの攻守がかみ合ってくる。
 まずは最初の相手攻撃を守備陣が完封。それを受けて攻撃陣はTEへのパス、RBの中央突破、QBのキープなどで陣地を進める。小段への長いパスが相手の反則を誘発したこともあって、あっという間にゴール前10ヤード。ここからRB井上が5ヤード、深村が残り5ヤードを走ってTD。13―0とリードを広げる。
 勢いづいた攻撃に守備陣が応え、次の京大の攻撃を完封。それを受けた攻撃陣はQB星野弟がWR五十嵐に30ヤードのパスを通してTD。PATも決めて20―0。4Qに入っても攻撃の手を緩めず、FGで3点、星野からWRリンスコットへのTDパスとPATで7点。30―0で試合を締めくくった。
 このように試合経過だけを紹介していくと、ファイターズの圧勝のように受け止められる方も多いだろう。けれども、勝負はそんなに甘くはない。この展開のどこかでミスがあれば、相手に流れが移っていた可能性もある。そういう意味では、後半になって投入されたメンバーを含め、全員が最後まで手を緩めることなく戦ったこの試合の意義は大きい。この日の収穫と反省を上ヶ原での練習に生かし、よりたくましい集団になるべく励んでもらいたい。
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