石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(6)わくわくJV戦
この3週間、週末ごとに上ヶ原の第3フィールドで、ファイターズの試合があった。交流試合と銘打っているけれども、ファイターズにとってはJV戦。普段、試合に出る機会の少ないメンバーに実戦経験を積ませるための貴重な機会である。
1週目の対戦相手は中京大学。選手層は薄いが、関西の1部リーグでも活躍できそうなメンバーが好守ともにそろっている。逆に、ファイターズにとっては、好守共にキラリと光る才能を秘めた下級生が何人もいる。けがやポジションの都合で、実戦経験を積む機会に恵まれないまま3年生、4年生になった選手も少なくない。そういったメンバーがそれぞれどんな活躍をしてくれるか。手元のメンバー表にある名前と背番号を頼りに、グラウンドの戦いに目をこらす。
ファイターズの攻撃陣で最初に目に付いたのがRBの大槻。相手ゴール前13ヤード付近から3回連続でボールを託され、ダウンを更新。ゴール前までの1ヤードが残ったが、次のプレーも大槻に託され、見事TDに持ち込んだ。
大槻って誰?、そんなRBいたのか、という周囲の人たちの声を聞きながら、当日のメンバー表を見て「彼って、ひょっとしてLBをやってた子ちゃうん? 福知山共栄で野球部だった子」と思いあたり、彼がファイターズを志望した際に一度だけ会って話したことの記憶のある選手だと判明した。
彼の動きを注目していると、彼はその後も短いヤードを確保したり、相手ゴール前に迫ったりした場面にはことごとく登場。そのたびに相手を跳ね飛ばす、文字通りのパワーランで陣地を進め、終わってみれば3本のTDをもぎ取っていた。
試合終了後に、顔を合わせた香山コーチに聞くと、「面白かったでしょう。うちのRBにはいないタイプですから。まだ、RBに転向して1週間ほど。これから、RBの走り方を覚えてくれると、楽しみな存在です」と、ニコニコしながら説明してくれる。その顔を見ていると、こちらまでわくわくしてきた。
急造RB大槻は、次の桃山大戦でもファンの関心事。ファターズ最初の攻撃シリーズから、短い距離を確実に進めたい場面には必ず登場。そのたびにパワフルなランで陣地を進めていく。スタンドのファンの歓声も大きくなる。
攻撃陣だけではない。この試合では守備でも僕にはなじみのないメンバーの活躍が目立った。DBの加藤、酒井は共に東京から志願してファイターズの門を叩いた2年生。ともに意識してプレーを見るのは初めてだったが、それぞれが注意深い位置取りで備え、相手の動きが見えた瞬間に素早く反応し、容易にプレーを通させない。3戦目の日体大戦で、相手パスに素早く反応してパスをカット、浮いたボールをそのまま確保してインターセプトに成功した新井イケンナを含め、東京からファイターズを志願してくれた面々が、ようやくチームになじんくれたようで、これまた嬉しいニュースである。
嬉しいニュースといえば、JV戦の2試合で鮮やかなTDパスをキャッチしたWR川崎の成長も心強い。1年生の時から注目されている長身のレシーバーだが、けがが多く、なかなか真価が発揮出来なかったが、この3試合では要所要所でパスをキャッチ。パスの捕り方もうまくなっており、秋シーズンに期待の持てる活躍ぶりだった。
秋シーズンへの期待といえば、日体大戦で先発したQB林のプレーも見応えがあった。これまでは、素早い身のこなしで、瞬時にランナーとしての威力を見せてくれる選手だと理解していたが、先発した中京大戦では、パスQBとしても成長していることを見せつけてくれた。同じポジションにはパスを得意とする鎌田や星野がいるから、なかなか出番はないかもしれないが、あの俊敏な走りに加えてパスプレーまで警戒しなければならないとなると、相手守備陣にとって厄介な存在になるに違いない。数年前、左利きの走れるQBとして存在感があった光藤君のようなプレーヤーになってくれるのではないかと、一人、胸の内でつぶやいていた。
見所の多かったJV戦3試合。好守のラインを含め、ここで名前を挙げきれなかった選手を含め、今後の成長に期待したい。前期試験が終わり、夏休みになれば、夏季の厳しいトレーニングが待っている。JV戦には出場しなかったレギュラー陣はもちろん、まだ大学の練習に耐えるための基礎的なトレーニングに打ち込んでいる新入生を含め、体力を養い、向上心を持った取り組みを続けて、秋にはさらに1段アップした勇姿を見せてもらいたい。
以上がスタンドから眺めた「交流戦という名のJV3試合」の感想である。今季もファイターズには、大いに期待が持てる。
1週目の対戦相手は中京大学。選手層は薄いが、関西の1部リーグでも活躍できそうなメンバーが好守ともにそろっている。逆に、ファイターズにとっては、好守共にキラリと光る才能を秘めた下級生が何人もいる。けがやポジションの都合で、実戦経験を積む機会に恵まれないまま3年生、4年生になった選手も少なくない。そういったメンバーがそれぞれどんな活躍をしてくれるか。手元のメンバー表にある名前と背番号を頼りに、グラウンドの戦いに目をこらす。
ファイターズの攻撃陣で最初に目に付いたのがRBの大槻。相手ゴール前13ヤード付近から3回連続でボールを託され、ダウンを更新。ゴール前までの1ヤードが残ったが、次のプレーも大槻に託され、見事TDに持ち込んだ。
大槻って誰?、そんなRBいたのか、という周囲の人たちの声を聞きながら、当日のメンバー表を見て「彼って、ひょっとしてLBをやってた子ちゃうん? 福知山共栄で野球部だった子」と思いあたり、彼がファイターズを志望した際に一度だけ会って話したことの記憶のある選手だと判明した。
彼の動きを注目していると、彼はその後も短いヤードを確保したり、相手ゴール前に迫ったりした場面にはことごとく登場。そのたびに相手を跳ね飛ばす、文字通りのパワーランで陣地を進め、終わってみれば3本のTDをもぎ取っていた。
試合終了後に、顔を合わせた香山コーチに聞くと、「面白かったでしょう。うちのRBにはいないタイプですから。まだ、RBに転向して1週間ほど。これから、RBの走り方を覚えてくれると、楽しみな存在です」と、ニコニコしながら説明してくれる。その顔を見ていると、こちらまでわくわくしてきた。
急造RB大槻は、次の桃山大戦でもファンの関心事。ファターズ最初の攻撃シリーズから、短い距離を確実に進めたい場面には必ず登場。そのたびにパワフルなランで陣地を進めていく。スタンドのファンの歓声も大きくなる。
攻撃陣だけではない。この試合では守備でも僕にはなじみのないメンバーの活躍が目立った。DBの加藤、酒井は共に東京から志願してファイターズの門を叩いた2年生。ともに意識してプレーを見るのは初めてだったが、それぞれが注意深い位置取りで備え、相手の動きが見えた瞬間に素早く反応し、容易にプレーを通させない。3戦目の日体大戦で、相手パスに素早く反応してパスをカット、浮いたボールをそのまま確保してインターセプトに成功した新井イケンナを含め、東京からファイターズを志願してくれた面々が、ようやくチームになじんくれたようで、これまた嬉しいニュースである。
嬉しいニュースといえば、JV戦の2試合で鮮やかなTDパスをキャッチしたWR川崎の成長も心強い。1年生の時から注目されている長身のレシーバーだが、けがが多く、なかなか真価が発揮出来なかったが、この3試合では要所要所でパスをキャッチ。パスの捕り方もうまくなっており、秋シーズンに期待の持てる活躍ぶりだった。
秋シーズンへの期待といえば、日体大戦で先発したQB林のプレーも見応えがあった。これまでは、素早い身のこなしで、瞬時にランナーとしての威力を見せてくれる選手だと理解していたが、先発した中京大戦では、パスQBとしても成長していることを見せつけてくれた。同じポジションにはパスを得意とする鎌田や星野がいるから、なかなか出番はないかもしれないが、あの俊敏な走りに加えてパスプレーまで警戒しなければならないとなると、相手守備陣にとって厄介な存在になるに違いない。数年前、左利きの走れるQBとして存在感があった光藤君のようなプレーヤーになってくれるのではないかと、一人、胸の内でつぶやいていた。
見所の多かったJV戦3試合。好守のラインを含め、ここで名前を挙げきれなかった選手を含め、今後の成長に期待したい。前期試験が終わり、夏休みになれば、夏季の厳しいトレーニングが待っている。JV戦には出場しなかったレギュラー陣はもちろん、まだ大学の練習に耐えるための基礎的なトレーニングに打ち込んでいる新入生を含め、体力を養い、向上心を持った取り組みを続けて、秋にはさらに1段アップした勇姿を見せてもらいたい。
以上がスタンドから眺めた「交流戦という名のJV3試合」の感想である。今季もファイターズには、大いに期待が持てる。
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