石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2012/6

<<前へ
rss

(12)大ブレークの予感

投稿日時:2012/06/27(水) 08:36

 先週末のJV戦は、追手門大学との対戦。期待の新戦力が大挙して出場し、わくわくするようなプレーを見せてくれた。試合経過を追いながら、順を追って紹介すればよいのだが、それでは焦点がぼやけてしまう。今回はあえて、2年生の新戦力に絞って紹介させていただく。
 先発に名を連ねた2年生は、攻撃ではラインの武内、TE松島、WR松岡、QB斎藤、RB米田。守備がラインの岡部、梶原弟、LB西山、森岡、DB村岡、国吉、林。これに主な交代要員として、WR樋之本、片岡、RB吉澤、DL国安、北本、DB吉原らがフィールドを駆け巡った。
 中でも目についたのは、身長が186、7センチもある樋之本、松島、片岡の巨漢レシーバー陣。記録を見ると、片岡が4回98ヤード、松島が4回55ヤード、樋之本が3回64ヤードを獲得。陣地を進める原動力になった。それぞれが相手守備陣より一回り背が高く、QBが安心してパスを投げられる。松島はブロック力に優れ、樋之本はキャッチがうまい。片岡は高校時代、バスケットボールをしていたということで、パスを受けてからの身のこなしが素早く、確実におまけのヤードを稼げる。
 こうした特徴を持った巨漢が代わる代わるにパスを受け、相手守備陣を崩していくのだから、見ている方はわくわくする。
 パスが通ると、必然的にラン攻撃も進む。前半は斎藤、後半は松岡がQBを務めたが、特段、難しい攻撃を組み立てなくても、ランとパス、そしてQBキープという単純な組み合わせだけで都合540ヤードを稼いだ。
 3本のTDを決めたRB米田、QB、WRというよりランナーとして活躍した松岡、それに1年生とは思えないほど「人に強い」ラッシュを見せたRB三好の活躍も特筆される。それぞれに持ち味は異なるが、潜在能力の高さを感じさせる活躍だった。
 もう一人。彼らの派手な活躍の陰に隠れているが、忘れてならないのがFB吉澤。昨年、FBとして強烈なタックルをほしいままにし、相手守備陣を悩ませた兵田君とそっくりの体型で、当たりの強さも兵田君ばり。加えてボールを扱うセンスもよく、ここ一番という場面で頼りになるプレーヤーになりそうな予感を抱かせてくれた。
 守備陣も多士済々。ラインの岡部と梶原弟は今春、Vのメンバーとして経験を積んだことが自信になったのだろう。ラインとは思えないほど素早い動きと強い当たりで、相手のオフェンスを切り裂いた。
 LBの要として守備陣をリードした西山はボールキャリアへの寄りが速く、笛が鳴ったときには大抵、キャリアに絡む形を作っていた。高校時代、アメフットは未経験というLB森岡も動きがスムーズになり、いつかその身体能力の高さを生かして大化けしそうな予感を与えてくれた。
 DBもまた人材が多い。国吉と村岡は、ともに動きが素早く、鮮やかなインターセプトを決めた。守備陣の最後の砦としての役割を果たしながら、積極的にキャリアに当たる決断もできる。昨年のDBを引っ張ってくれた香山君、重田君の穴を埋めるのは、この二人かな、という予感すら感じるほどだった。
 このように、目についた2年生に限って名前を挙げていくだけでも、今年は多士済々。新チームになってからずっと、目先の勝敗、試合にこだわらず、ひたすら体を鍛え、試合のできる体づくりに徹してきたチームの方針が実り始めているのだろう。春季はひたすら若手に経験を積ませ、試合の中で成長を促すという試みが、JV戦とはいえ、形に表れてきたのだろう。
 これだけの能力を持った選手たちが春学期の試験を終えて走り込み、夏合宿で鍛えていけば、秋の試合でブレークするのは必至である。その日が来るのが楽しみでならない。今からわくわくする。

付記
 もちろん、2年生以外にも成長途上にあるメンバーは大勢いる。1年生にも有望なメンバーが並んでいる。その辺の話は、次回、春の最終戦となる大阪学院大学との試合でチェックを入れたい。

(11)JV戦の楽しみ

投稿日時:2012/06/20(水) 06:37

 6月もまだ半ばというのに、またも台風の襲来である。僕の働いている紀州・田辺では昼過ぎから風雨が強くなり、昼の食事にちょこっと出ただけで、ズボンもシャツもびしゃ濡れ。傘を差していても、何の効果もない。夕方には紀伊半島の南部に上陸したそうで、帰宅するときも風がビュンビュン吹いていた。
 それでも天気図を見れば、田辺はまだ被害は少ない方で、昨年秋、甚大な被害の出た熊野川流域や古座川流域は雨の被害、土砂災害が懸念される。現場を駆け巡っている若い記者たちは大変だろうが、僕は明朝まで特段、することもない。自宅待機ということで、少し時間ができたから、台風と何の関係もないこのコラムを書こうとパソコンに向かっている。
 さて本題である。春のファイターズは、昨年の関西リーグ終盤から甲子園ボウル、ライスボウルと続くハードな戦いの中で負傷し、体調が万全ではない主力選手を休ませながらの試合が続いた。その間、チームは攻守とも試合経験の少ないメンバーを積極的に起用し「試合の中で技量を身につけ、鍛えて行く」という方針に徹してきた。その辛抱強い起用に応えて、攻守とも若いメンバーがずいぶん力を付けてきた。それは、先日のパナソニック・インパルスとの試合で証明された。
 しかし、これで本当に秋のシーズンを戦えるだろうか。春に先発に名を連ねた選手たちが夏に鍛え、心技体とも万全の状態で秋のシーズンに臨むことができたら、今後復帰してくるだろう昨年のメンバーと合わせて、そこそこの陣容は整うだろう。しかし、アメフットにけがはつきもの。どこでアクシデントが起きるか分からない。それに備えなければならないし、それ以上に先発メンバーを脅かす控え選手の成長、追い上げがなければ、チームは沈滞してしまう。
 何しろリーグ戦で戦う相手はどこも力を付けている。ほんの数年前までは上位チームと下位チームには、僕のような素人が見ても、その力に顕著な差があったが、いまはどこのチームも戦力が充実している。「調整」気分で戦えるようなチームは一つもないといっていいだろう。そんなチームに勝つには、当方も常に控え選手の底上げ、奮起が要請されるのである。
 そういう側面から考えると、昨年まではベンチを温めていた控えのメンバーが成長したといっても、とうてい安心できる状態ではない。監督やコーチに聞いても、誰もが「もっとチーム内の競争が激しくならないと。とりあえず先発メンバーが組めるというだけではリーグ戦は戦えない」と口を揃える。
 その意味で、これから2週間連続で行われるJV戦が注目される。
 一つは今春入部した1年生たちが本格的にデビューする試合であるということ。昨年もこの時期のJV戦で、いまVのメンバーとして活躍しているRB鷺野、松岡、吉澤、QB斎藤、WR木戸、大園、DL梶原、岡部、LB小野、西山、DB国吉、市川、村岡、K三輪らが次々に登場。期待に応えるプレーを見せてくれた。
 今年も、スポーツ推薦で入部した部員はもとより、ラグビーやハンドボールなど他競技で全国大会に出場経験のあるアスリートが何人も入部している。春からずっと筋力トレーニングや体幹強化訓練を続けて、ようやく試合に出られる状態にまで体調を整えてきた。すでに、Vの試合やJV戦に登場したメンバーもいるが、今度の2試合が彼らにとっては「晴れの舞台」になる。そこでどんなプレーを披露してくれるか。胸がわくわくする。
 もう一つは、けがなどでなかなか出場機会のなかった3、4年生や、素質はあってもVの試合に出るには力不足と見られていた2、3年生がアピールする舞台であること。毎年のことだが、このJVの試合で首脳陣にアピールし、それが自信となって夏合宿で格段に成長を遂げる選手がいる。いまやファイターズのエースであり、タッチダウン誌の表紙を飾るまでになったRB望月も、LBとして出場した2年生の時のJV戦で頭角を現し、秋にはスタメンをとった選手である。
 こういう選手が何人出現するか。これもまた見所である。
 こんな試合が無料で、ファイターズのホームグラウンドで行われる。母校の訪問を兼ねて、ぜひとも足を運んでいただきたい。期待の選手の活躍を身近で見守っていただきたい。彼らが納得のいく試合をしてくれたら、拍手を送り、入場料代わりにファイターズへの指定寄付をしていただきたい。そんな寄付がどっさり集まることを夢見ている。
«前へ

<< 2012年6月 >>

MONTUEWEDTHUFRISATSUN
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログテーマ