石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2008/10

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(24)チーム内の切磋琢磨

投稿日時:2008/10/23(木) 09:58

 強固なDLをそろえた神戸大相手に、終わってみれば44-7。記録を見れば、ファイターズの圧勝だった。攻撃は、パスで288ヤード、ランで196ヤード、トータル484ヤードを稼ぎ、守っては相手攻撃を172ヤードに抑えている。とくにランに対する守りは完璧で、わずか12ヤードの前進にとどめた。
 試合終了間際に、今季初めて相手にタッチダウン(TD)を許したが、それはメンバーをごっそり入れ替えた後のこと。とくに守備のラインは1年生が中心で、試合経験を積ませる意味もあったようだから、ある程度進まれるのは覚悟の上だったと思う。
 得点経過は、ホームページの試合結果を見てもらえばいい。パスとランをほどよく織り交ぜ、必要な時間帯、必要なタイミングで得点を重ねていることが理解できるだろう。
 問題は内容である。強力な立命攻撃陣を相手に、あの守備が通用するのか、化け物のように速くて強いあのディフェンスをかいくぐって得点を重ねられるのか。その前に立ちはだかる「一撃必殺」で立ち向かってくる京大守備陣を突破できるか、ということである。
 そういう視点で、毎回、観戦していると、僕のような素人にも、おぼろげながら見えてくるものがある。チームの層が厚くなったということである。
 もちろん、けがで練習もままならない選手もいれば、成長が止まっているように見える選手もいる。チームを預かる監督やコーチの目から見れば、層が厚くなったなんておこがましい、まだまだ底上げが必要、こんなレベルで満足しているようではおしまいだ、というのが実感だろう。
 けれども、スタンドから眺めていれば、チームは確実に成長している。個々の選手も、着実に力を付け、試合ごとに自分に対する信頼を高めているように見える。立ち上がり、2本のTDを奪うと、早々にベンチに下がったQB加納がその象徴。この日は、絶妙のタイミングでピンポイントのパスを何本も決めた。パスを100%成功させたからといって褒めるのではないが、相手をぎりぎりまで引きつけて思い通りにパスを通すというのは、自分の技量に対する完全な信頼があって、初めてなしうる事だろう。
 2年生の成長も著しい。加納がベンチに退いた後、フル稼働したQB加藤は、試合に出るたびに自信をつけている。この日、鮮やかな身のこなしでゲインを重ね、それぞれTDを決めたRBの久司と稲村、長身を生かして6本のパスをキャッチし、79ヤードを稼いだWR春日も2年生。彼らはすべて交代要員としての出場だったが、人材が豊富な先発メンバーの座を脅かしそうな活躍ぶりだった。
 ディフェンスに目をやれば、先発メンバーに名前を連ねている2年生が4人もいる。DLの平澤、LBの吉井、DBの三木と善元。上級生と競争してスタメンの座をつかんだ彼らの活躍が上級生を刺激することで、必然的に選手層は厚くなる。
 1年生も負けてはいない。OLの中央で安定したスナップを出し続けた谷山(関西大倉)と、安定したキックを蹴り続けた大西(高等部)は、もはや堂々のスタメン。WRの和田(高等部)も鋭い走りで2本のパスをキャッチした。守備のラインで登場した長島(佼成学園)や佐藤(関西大倉)も、非凡なプレーを見せている。
 課題とされることが多いオフェンスラインも、強力な神大DLを相手になんとか乗り切った。試合で失敗を重ねるたびに、それを糧にして一歩一歩、成長していることがうかがえる。
 この日は、攻撃の切り札となるはずのRB河原や平田、WR柴田は出場していなかった。しかし、その不在が気にならないほど、控え選手が活躍した。それほど選手層が厚くなっているのである。
 それは、チーム内の競争がいい方向で回転しているからだろう。レベルの高いQBがいることでWRが育てられる。その逆もいえる。同時にQBやWRのレベルが上がることで、DBやLBが鍛えられる。DBやLBが厳しく当たれるようになると、それに対抗するRBが鍛えられる。高いレベルの競争が日常的になってくると、必然的に下級生も鍛えられ、選手層も厚くなってくる。その回転がうまくいくようになって、ようやく戦う姿が見えてきたのが、ファイターズの現状だと僕は思っている。
 願わくは、さらに一段上のレベルでチーム内の競争を繰り広げてもらいたい。それができて初めて、より選手層の厚い立命と真っ向から勝負ができるだろう。

(23)スポーツ推薦、全員合格

投稿日時:2008/10/13(月) 15:29

 先日、3年生マネジャーの蔀君から「スポーツ推薦入試を受けた受験生が全員合格しました」という連絡をもらった。うれしい知らせである。
 今年、ファイターズでプレーすることを志望して関学を受験してくれたのは、東京の武蔵工大付属から3人、足立学園から1人、大阪の箕面自由2人、箕面、関西大倉各1人、兵庫の滝川、仁川、三田祥雲館各1人である。この中には、タッチダウン誌のトップボーイズに写真入りで選ばれた選手もいるし、チームが早々に敗退したり、けがに見舞われたりして、公式戦ではさほど活躍が目立たなかった選手もいる。けれども、入学後は全員、ファイターズを背負って立つ部員になってくれるという確信が、僕にはある。
 というのは他でもない。毎年、恒例となっている小論文の勉強会を通じて、短い期間だが彼らと交流があるからである。東京組の4人とはファクスによって小論文をやりとりするだけだが、関西在住の7人とは、夏休みの間、毎週のように顔を会わせ、小論文の書き方を指導し、終了後は一緒に食事をしながら話し込んできた。
 「文は人なり」。小論文を書かせると、必ずそこに書き手の考え方や知的能力、性格が表れる。食事をしながら話し込むと、その子の思いもよらない素顔が見えてくる。それらが与えてくれる情報はともに、みなさんが想像される以上である。だからこそ、推薦入試に小論文と面接試験が採用されているのだ。
 前にもこのコラムで書いたことがあるが、僕はスポーツ推薦で関学を受験し、ファイターズでプレーしたいと希望する高校生に、小論文の書き方をアドバイスしている。毎年、高校が夏休みになると、週に1度は集まってもらって勉強会を開く(関西在住者以外は、基本的にはファクスでのやりとりになる)。そこでいろんな課題を与え、時間を区切って800字の小論文を書かせる。それを添削し、講評して、文章を書くことの入門編を指導するのである。
 最初に、こういう勉強会を持ったのは10年前。池田高校から平郡君、箕面高校から池谷君が受験してくれたときである。当時は朝日新聞社に勤めていたので、中之島の本社まできてもらい、地下の喫茶店や社内の喫茶室でお茶を飲み、ケーキを食べながら勉強した。高校生に教えるのは初めての経験だったが、2人とも高い知的能力の持ち主だったので、手探りで進める僕の指導に的確に反応し、あっという間にコツをつかんでくれた。
 それに自信を得て、翌年夏(佐岡君や石田貴祐君の年代である)からは、ファイターズが推薦する受験生全員にアドバイスする仕組みを作り、毎年、夏休みになる直前から試験の前まで、定期的な勉強会を開くことになった。この10年間に担当した受験生は65人に上る。
 その間、ずっとファイターズの窓口になって受験生の世話をしてくれたのがリクルート担当のマネジャーであり、宮本敬士ディレクター補佐である。この10年間、担当してくれたマネジャーの名前を順に並べていくと、沢井紘平、祝翼、水野康二、藪西雄太、佐々木啓、岩辺憲昭の各氏と、現役の酒井祐輔、蔀保裕両君である。彼らの努力なしには、ファイターズのリクルート活動は語れない。
 10数年前、最初に本格的なリクルート活動制度を導入した小野コーチによると、ファイターズのリクルート活動は元々、学生マネジャーが主体になって動かしていたそうだ。試合会場に出向いて試合を見たりビデオを撮ったりしながら有望選手を捜し、それをリストアップして監督やコーチに推薦し、高校の先生や保護者にコンタクトをとっていたという。
 そういう背景があるから、いまもリクルート活動の最前線を支えるのは学生マネジャーである。チームのリクルート担当、宮本ディレクター補佐に協力し、彼の指導の元で各地の高校を訪ね、顧問の先生と話したり試合を見たりして有望な選手を探す。
 現役の担当マネジャー、蔀君によると、春と秋のシーズンが始まると、週末ごとに高校の試合を見に行く。大阪・兵庫の公式戦はすべて現場でチェックし、重要な試合のあるときは滋賀や名古屋、東京にも出掛けるそうだ。ファイターズの試合と重なっても高校の試合が優先。チームの一員でありながら、チームを離れてスカウト活動に専念する。
 チームのOBや現役部員から有望な選手の推薦を受けることもあるし、高校の先生と名刺を交換し、注目すべき選手の名前を教えてもらうこともある。有望な選手についてはビデオを撮り、添付資料をまとめて監督やコーチに見てもらう。
 そうして候補者を絞り、小論文教室が始まると、今度はその世話役として僕を助けてくれる。会場の準備から選手との連絡、お茶の手配まで。チームの練習を手伝うのを棚上げしてこまめに仕事をこなしてくれる。今年は夏合宿の最終日と勉強会の日取りが重なっていたため、東鉢伏山から勉強会場まで直接、駆けつけてくれた。受験生が勉強している以上、担当マネジャーとして手を抜くわけにいかなかったのだろう。真っ黒に日焼けした蔀君の顔を見て、その熱意に頭が下がった。
 他の有力なチームも、リクルート活動には全力を挙げている。有望な選手については競合することも多い。それだけにリクルート担当マネジャーの選手の能力をいち早く見抜く能力が要請される。そういう努力があって初めて将来のファイターズを背負う有望な部員が獲得できるのである。
 本当は、彼らの活動のもっと細かい所まで書きたいのだが、チームの機密にふれる可能性もあるので、今日はここまで。推薦で合格した選手の固有名詞を挙げるのも、チームが発表するまでは遠慮したい。
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