石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
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(31)人が成長する瞬間
投稿日時:2011/11/23(水) 01:15
この秋、朝日新聞出版から発行されたアエラムック「関西学院大学 by AERA」に、僕はファイターズについて、こんな文章を書いた。
「たとえ戦力的に劣っている時でも、戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきたのがファイターズであり、戦後、一貫してアメフット界の頂点を争い続けてきた唯一のチームとしての矜持(きょうじ)である。関西学院のスクールスポーツとして敬意を払われ、部員たちもそのことに特別の思いを持つ基盤はここにある」
それは例えば、今度の日曜日、長居スタジアムで相まみえる立命館との決戦を前に、ファイターズの構成員とそれに連なるすべての人々が胸に抱いている思いではなかろうか。
戦力的には劣っているかもしれない。けれども「戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきた」と、チームを構成するすべてのメンバーが自信を持っていえる時、道は開ける。狭き門、試練の壁を突破することが可能になる。
僕は長年、一人のファンとして、ファイターズを応援してきた。この12年間は毎年、スポーツ推薦でファイターズを志望する高校生を相手に小論文の勉強会を開き、6年前からは、毎週のようにこのコラムを書いている。「取材」と称して練習も見に行くし、合宿にも顔を出す。試合の直後、控え室に引き揚げる選手たちに声を掛け、簡単な話を聞くこともある。就職活動の相談や授業などを通して、部員の悩みを聞く機会も少なくない。
こういう接し方をしていると、部員の喜怒哀楽、いろんなことが分かってくる。しっかりしているように見えても、彼らはまだ20歳前後の多感な青年である。迷いもあれば、動揺もある。時には若気の至りというか、やんちゃな素顔も見える。悩みごとも多い。
技量が思うように上達せず、落ち込んでいる選手、大事なところで失敗しないかと、どこか自信なさげな選手、逆に、どんなに緊張した場面でも、普段通り明るく振る舞える選手。必ず立ち止まって話しかけてくる選手。学業で悩みを抱えている選手。グラウンドのパフォーマンスだけでなく、練習前、練習後のちょっとした仕草にも、その胸の内が垣間見える。
そういう姿を見ていると、ある日突然「この子は成長したな」と感じる時がある。表情が明るくなり、振る舞いに落ち着きが出てくる。チームの仲間に対する接し方が変わってくる。シーズンが深まるにつれて、とりわけ4年生の言動が変わってくる。コーチや監督にいわせると「まだまだですよ」といわれるが、そんなことはない。どこかで壁を突破し、一段上のステージに上ったと実感させてくれる選手が増えてくるのである。
それは、当の選手が一番よく知っている。苦しい練習をやりきったとき、試合でこれまではどうしてもうまくいかなかったプレーが成功したとき、追い上げて来る後輩よりなお一段階上のプレーができたとき、あるいは大学の定期試験で成果が実感できたとき、人は自分の成長を実感できるだろう。
それは、新聞記者として40数年、終始現場に身を置き、自分を鍛えてきた僕の実感でもある。日々の努力の成果は、なかなか具体的な形には表れてこない。けれども、ある日突然、頭の中でスイッチが点灯し、周囲が明るくなったような感覚に襲われることがある。あるいは、気がつけば、知らないうちに目標としていた高みに上がってしまっていた、という方が当たっているかもしれない。
大切なことは、試練を試練と意識せず、努力を続けることである。たとえ目の前に巨大な壁が立ちふさがっていたとしても、決してあきらめないことである。向上心を持って、必死に足をかき、もがき続けていれば、ある時突然、目の前に大きな走路が開けていることがある。狭い門だからこそ、それを突破したときの喜びは大きい。その喜びの実感が人を成長させるのである。
さきの「アエラ」の原稿で、僕は結びとしてこんな文章を書いた。
「上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁気が流れている。それは常に勝つことへの意識を高め、その圧力に打ち克とうと努力を続ける学生と、それを支える監督やコーチが醸し出すものである。草創期のメンバーが無意識のうちに埋め込んだものであり、歴代のOBがライバルとの戦いの中で醸成してきたものでもある。自発性を重視し、献身に価値を置くチームとしてのたたずまいがもたらせたものといってもよいだろう」
「人はそれを称して伝統と呼ぶ。ファイターズにおいては、それがチームソングにある勝利者の名を誇りに思い、その名に恥じないチームとしての品性を持て、という意味につながるのである」
人を人として成長させる場所。そこで鍛えた選手諸君が今度の日曜日、長居スタジアムで、誰もが驚くほど成長した姿を見せてくれるに違いない。僕はそれを確信している。
「たとえ戦力的に劣っている時でも、戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきたのがファイターズであり、戦後、一貫してアメフット界の頂点を争い続けてきた唯一のチームとしての矜持(きょうじ)である。関西学院のスクールスポーツとして敬意を払われ、部員たちもそのことに特別の思いを持つ基盤はここにある」
それは例えば、今度の日曜日、長居スタジアムで相まみえる立命館との決戦を前に、ファイターズの構成員とそれに連なるすべての人々が胸に抱いている思いではなかろうか。
戦力的には劣っているかもしれない。けれども「戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきた」と、チームを構成するすべてのメンバーが自信を持っていえる時、道は開ける。狭き門、試練の壁を突破することが可能になる。
僕は長年、一人のファンとして、ファイターズを応援してきた。この12年間は毎年、スポーツ推薦でファイターズを志望する高校生を相手に小論文の勉強会を開き、6年前からは、毎週のようにこのコラムを書いている。「取材」と称して練習も見に行くし、合宿にも顔を出す。試合の直後、控え室に引き揚げる選手たちに声を掛け、簡単な話を聞くこともある。就職活動の相談や授業などを通して、部員の悩みを聞く機会も少なくない。
こういう接し方をしていると、部員の喜怒哀楽、いろんなことが分かってくる。しっかりしているように見えても、彼らはまだ20歳前後の多感な青年である。迷いもあれば、動揺もある。時には若気の至りというか、やんちゃな素顔も見える。悩みごとも多い。
技量が思うように上達せず、落ち込んでいる選手、大事なところで失敗しないかと、どこか自信なさげな選手、逆に、どんなに緊張した場面でも、普段通り明るく振る舞える選手。必ず立ち止まって話しかけてくる選手。学業で悩みを抱えている選手。グラウンドのパフォーマンスだけでなく、練習前、練習後のちょっとした仕草にも、その胸の内が垣間見える。
そういう姿を見ていると、ある日突然「この子は成長したな」と感じる時がある。表情が明るくなり、振る舞いに落ち着きが出てくる。チームの仲間に対する接し方が変わってくる。シーズンが深まるにつれて、とりわけ4年生の言動が変わってくる。コーチや監督にいわせると「まだまだですよ」といわれるが、そんなことはない。どこかで壁を突破し、一段上のステージに上ったと実感させてくれる選手が増えてくるのである。
それは、当の選手が一番よく知っている。苦しい練習をやりきったとき、試合でこれまではどうしてもうまくいかなかったプレーが成功したとき、追い上げて来る後輩よりなお一段階上のプレーができたとき、あるいは大学の定期試験で成果が実感できたとき、人は自分の成長を実感できるだろう。
それは、新聞記者として40数年、終始現場に身を置き、自分を鍛えてきた僕の実感でもある。日々の努力の成果は、なかなか具体的な形には表れてこない。けれども、ある日突然、頭の中でスイッチが点灯し、周囲が明るくなったような感覚に襲われることがある。あるいは、気がつけば、知らないうちに目標としていた高みに上がってしまっていた、という方が当たっているかもしれない。
大切なことは、試練を試練と意識せず、努力を続けることである。たとえ目の前に巨大な壁が立ちふさがっていたとしても、決してあきらめないことである。向上心を持って、必死に足をかき、もがき続けていれば、ある時突然、目の前に大きな走路が開けていることがある。狭い門だからこそ、それを突破したときの喜びは大きい。その喜びの実感が人を成長させるのである。
さきの「アエラ」の原稿で、僕は結びとしてこんな文章を書いた。
「上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁気が流れている。それは常に勝つことへの意識を高め、その圧力に打ち克とうと努力を続ける学生と、それを支える監督やコーチが醸し出すものである。草創期のメンバーが無意識のうちに埋め込んだものであり、歴代のOBがライバルとの戦いの中で醸成してきたものでもある。自発性を重視し、献身に価値を置くチームとしてのたたずまいがもたらせたものといってもよいだろう」
「人はそれを称して伝統と呼ぶ。ファイターズにおいては、それがチームソングにある勝利者の名を誇りに思い、その名に恥じないチームとしての品性を持て、という意味につながるのである」
人を人として成長させる場所。そこで鍛えた選手諸君が今度の日曜日、長居スタジアムで、誰もが驚くほど成長した姿を見せてくれるに違いない。僕はそれを確信している。
(30)予想という名の願望
投稿日時:2011/11/15(火) 21:25
京大戦の朝は、5時に起きた。家人は誰も熟睡中。朝刊を読み終え、静かにシャワーを浴びて、すっきりしたところで机に向かう。その日の天候を見て、試合展開を予測し、自分が監督やコーチになったつもりで、勝手な作戦を練る。活躍してくれそうな選手の顔と名前が次々に浮かんでくる。試合当日、誰にも邪魔されたくない至福の時間が始まる。
勝手に考えた作戦は当たることもあるし、当たらないこともある。活躍してくれそうな選手が思いの外調子が悪かったり、思わぬ選手が活躍してくれることもある。誰に相談することもなく、事前に誰かに打ち明けることもないから、予測が当たろうが外れようが、そんなことはどうでもよい。自分の「今日の試合はこのように展開してほしい」という願望を「作戦」と称しているだけだから、誰に迷惑をかけることもない。
この「作戦」というより「願望」が、京大戦では8割方的中した。自分でも驚きながら、このコラムを書いている。
まず、ロースコアのゲームになることを前提に、互いに辛抱、我慢の展開になると予想し、キッキングの出来不出来が勝敗を分けるとにらんだ。試合で目立った活躍をしてくれそうな予感がしたのは、オフェンスでは主将松岡、WR和田、小山、そしてK大西である。それぞれ、キッキングゲームにおいても、必ずヒーローになる場面が来るはずと、勝手な願望を付け加えた。さらに、ほんの短い時間、グラウンドに登場するであろう4年生、例えばQB糟谷やRB兵田らが目立つ場面が必ずあるとも予想した。
デフェンスの予測が難しかった。誰もがヒーローになる可能性があるし、ひょっとしてポカをしでかす選手が出てくるのではないかという懸念も、頭の片隅にはあった。しかし、僕の頭では、どう守れば一番効果があるのか、という答えは出てこなかった。結局、つまらないことを考えるより、DL、LB、DB諸君の高い運動能力と俊敏な動きに期待しよう、相手がどんな秘策を練ってきても、誰かが必ずカバーしてくれる、大崩れはないと信じるしかない、と結論づけて、それ以上は考えるのをやめた。外野は無責任である。
さて、試合である。立ち上がり、ファイターズは松岡の35ヤードリターンで50ヤードからの攻撃。先発の糟谷がいきなり中央を突破して7ヤードを獲得。味方を奮い立たせる元気なプレーである。3回のランプレーでダウンを更新すると、QB畑から小山への36ヤードのパスが炸裂、いきなり相手ゴール前4ヤードに攻め込む。
ところが、ここで京大の守備陣が踏ん張る。強烈なタックルでRB望月のダイブプレーを跳ね返し、残り4ヤードを守りきる。結局は大西のFGで3点。
ランプレーに徹した京大の攻撃シリーズを全員で食い止め、再びファイターズの攻撃。今度は畑からTE金本、WR和田へのパス、松岡のドロープレー、さらにはトリッキーなパスプレーなどを交えて、あっという間に敵陣21ヤード。だが、ここからが攻めきれない。大西のFGも失敗して無得点。
第2Qに入って最初の攻撃シリーズもちぐはぐだった。QBのファンブルで大きく陣地を失った後に、小山へのパスが成功。ようやく落ち着いたかと思った瞬間に、パスインターセプト。相手に攻撃権を奪われ、あげくにFGにまで持ち込まれて3-3の同点。
だが、主将松岡があわやTDかと思わせる77ヤードのキックオフリターンでファイターズの士気を奮い立たせる。相手ゴール前20ヤードからの攻撃で畑が和田へのパスを成功させ、残り7ヤード。だが、反則による罰退などで、ここでもTDは取れず、大西のFGによる3点のみ。
次のシリーズでは、キッキングチームが絶妙のカバーを見せ、京大を自陣16ヤードからの攻撃に追いやる。前半、残り時間は1分54秒。ここでファイターズベンチは3回連続でタイムアウトを要求。京大の攻撃機会を封じ、逆に自分たちの攻撃時間を確保しようと試みる。この積極的な作戦に守備陣が応え、京大の攻撃を完封して攻撃権を取り戻す。
残り時間は1分54秒。ゴール前35ヤード付近からの攻撃は和田と小山へのパスで、あっという間にゴール前数ヤード。しかし、そこからが攻めきれない。通ったと思ったTDパスをはじいたりして、またまた大西のFG。結局、前半は互いにTDが奪えずフィールドゴールだけの9-3。
後半になっても、京大守備陣のスタミナは衰えない。攻撃陣も果敢にパスを通して攻め込んでくる。しかし、守備陣が奮起し、肝心なところは食い止める。
ファイターズの攻撃陣も、京大ディフェンスの素早くて強力な守りに手を焼き、後半は3度もパントに追い込まれた。しかしその都度、大西が滞空時間の長いパントを相手陣深くまで蹴り込み、主導権は渡さない。
そんな中、後半、唯一のチャンスとなった場面で、大西が47ヤードのFGを決めて3点を追加。キッキングチームを率いるリーダーの意地とプライドを見せつけた。
厳しい状況下で、何度もスーパーキャッチを見せた和田、リターナーとしても再三、ロングゲインを奪い、士気を鼓舞した松岡らの活躍もあって、4年生が引っ張っていくチームの姿がようやく見えてきた。我慢と辛抱、勝つための高いモラルも見えてきた気がする。
立命戦まで、あと10日余り。京大戦で見せた粘りと勇気を、チーム全体でさらに進化させ、決戦に挑んでほしい。
勝手に考えた作戦は当たることもあるし、当たらないこともある。活躍してくれそうな選手が思いの外調子が悪かったり、思わぬ選手が活躍してくれることもある。誰に相談することもなく、事前に誰かに打ち明けることもないから、予測が当たろうが外れようが、そんなことはどうでもよい。自分の「今日の試合はこのように展開してほしい」という願望を「作戦」と称しているだけだから、誰に迷惑をかけることもない。
この「作戦」というより「願望」が、京大戦では8割方的中した。自分でも驚きながら、このコラムを書いている。
まず、ロースコアのゲームになることを前提に、互いに辛抱、我慢の展開になると予想し、キッキングの出来不出来が勝敗を分けるとにらんだ。試合で目立った活躍をしてくれそうな予感がしたのは、オフェンスでは主将松岡、WR和田、小山、そしてK大西である。それぞれ、キッキングゲームにおいても、必ずヒーローになる場面が来るはずと、勝手な願望を付け加えた。さらに、ほんの短い時間、グラウンドに登場するであろう4年生、例えばQB糟谷やRB兵田らが目立つ場面が必ずあるとも予想した。
デフェンスの予測が難しかった。誰もがヒーローになる可能性があるし、ひょっとしてポカをしでかす選手が出てくるのではないかという懸念も、頭の片隅にはあった。しかし、僕の頭では、どう守れば一番効果があるのか、という答えは出てこなかった。結局、つまらないことを考えるより、DL、LB、DB諸君の高い運動能力と俊敏な動きに期待しよう、相手がどんな秘策を練ってきても、誰かが必ずカバーしてくれる、大崩れはないと信じるしかない、と結論づけて、それ以上は考えるのをやめた。外野は無責任である。
さて、試合である。立ち上がり、ファイターズは松岡の35ヤードリターンで50ヤードからの攻撃。先発の糟谷がいきなり中央を突破して7ヤードを獲得。味方を奮い立たせる元気なプレーである。3回のランプレーでダウンを更新すると、QB畑から小山への36ヤードのパスが炸裂、いきなり相手ゴール前4ヤードに攻め込む。
ところが、ここで京大の守備陣が踏ん張る。強烈なタックルでRB望月のダイブプレーを跳ね返し、残り4ヤードを守りきる。結局は大西のFGで3点。
ランプレーに徹した京大の攻撃シリーズを全員で食い止め、再びファイターズの攻撃。今度は畑からTE金本、WR和田へのパス、松岡のドロープレー、さらにはトリッキーなパスプレーなどを交えて、あっという間に敵陣21ヤード。だが、ここからが攻めきれない。大西のFGも失敗して無得点。
第2Qに入って最初の攻撃シリーズもちぐはぐだった。QBのファンブルで大きく陣地を失った後に、小山へのパスが成功。ようやく落ち着いたかと思った瞬間に、パスインターセプト。相手に攻撃権を奪われ、あげくにFGにまで持ち込まれて3-3の同点。
だが、主将松岡があわやTDかと思わせる77ヤードのキックオフリターンでファイターズの士気を奮い立たせる。相手ゴール前20ヤードからの攻撃で畑が和田へのパスを成功させ、残り7ヤード。だが、反則による罰退などで、ここでもTDは取れず、大西のFGによる3点のみ。
次のシリーズでは、キッキングチームが絶妙のカバーを見せ、京大を自陣16ヤードからの攻撃に追いやる。前半、残り時間は1分54秒。ここでファイターズベンチは3回連続でタイムアウトを要求。京大の攻撃機会を封じ、逆に自分たちの攻撃時間を確保しようと試みる。この積極的な作戦に守備陣が応え、京大の攻撃を完封して攻撃権を取り戻す。
残り時間は1分54秒。ゴール前35ヤード付近からの攻撃は和田と小山へのパスで、あっという間にゴール前数ヤード。しかし、そこからが攻めきれない。通ったと思ったTDパスをはじいたりして、またまた大西のFG。結局、前半は互いにTDが奪えずフィールドゴールだけの9-3。
後半になっても、京大守備陣のスタミナは衰えない。攻撃陣も果敢にパスを通して攻め込んでくる。しかし、守備陣が奮起し、肝心なところは食い止める。
ファイターズの攻撃陣も、京大ディフェンスの素早くて強力な守りに手を焼き、後半は3度もパントに追い込まれた。しかしその都度、大西が滞空時間の長いパントを相手陣深くまで蹴り込み、主導権は渡さない。
そんな中、後半、唯一のチャンスとなった場面で、大西が47ヤードのFGを決めて3点を追加。キッキングチームを率いるリーダーの意地とプライドを見せつけた。
厳しい状況下で、何度もスーパーキャッチを見せた和田、リターナーとしても再三、ロングゲインを奪い、士気を鼓舞した松岡らの活躍もあって、4年生が引っ張っていくチームの姿がようやく見えてきた。我慢と辛抱、勝つための高いモラルも見えてきた気がする。
立命戦まで、あと10日余り。京大戦で見せた粘りと勇気を、チーム全体でさらに進化させ、決戦に挑んでほしい。
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