石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
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(15)さあ開幕
投稿日時:2018/08/25(土) 08:00
8月25日午後7時10分、2018年度ファイターズの関西リーグ初戦が始まる。場所は吹田市のエキスポフラッシュフィールド。いつもの年の王子スタジアムとは少々勝手が違い、交通手段も異なるが、ファイターズの初戦であることは間違いない。より多くのファンの方々に会場までお運びいただき、応援をお願いしたい。
開幕に先立って24日午前、僕も毎年恒例の儀式をしっかり務めてきた。前夜からの台風が一段落するのを待ちかねて大学に足を運び、平郡君のヤマモモの木に手を合わせ、上ヶ原の八幡神社に勝利を祈願する。ついでに時計台に向かっても一礼し、選手諸君の健闘を祈る。賽銭の代わりという訳ではないけれども、財務課の窓口に足を運んで、ファイターズのためにささやかな寄付も届けた。
毎年のことだから旧知の財務課長も「ありがとうございます。いよいよですね」と声を掛けてくれる。彼は水泳部のコーチを務めているが、会うたびにファイターズ話で盛り上がる。
彼だけではない。院長をはじめ、僕の知っている大学職員の全員がファイターズには特別の感情を抱いておられるのだろう。顔を合わせるたびに、それぞれの言葉で応援の気持ちを伝えていただける。その言葉を聞くたびに、関西学院には数多くの課外活動団体があるが、その中でもファイターズは別格、という感慨を抱く。それもまた、現役の部員はもちろん歴代の部員、関係者が築き上げてきたチームの伝統に対する敬意の表れだろう。ありがたいことであり、僕もまたチームへの愛着が一層深くなる。
グラウンドでは、台風の余波が収まるのを待って、午前中からゲーム前の全体練習をしていた。23日深夜には、近畿地方に大きな被害をもたらせた台風20号が兵庫県に再上陸し、大雨と強風で各地に被害をもたらせたが、ファイターズはその間隙をついて23日も24日も練習を続けた。23日は、通常なら夕方からの練習時間を早朝からに切り替え、台風の影響が出る前に練習を終える。24日も台風の影響が収まるのを待って午前10時半から練習開始。固定観念に捕らわれないファイターズならではのやりくりで練習の時間を確保し、試合に備えていた。いつもながらの柔軟なチーム運営に驚きながら、全体練習を見せていただいた。
さらに昨日の試合前日の練習にも強い印象を受けた。いつもなら試合の前日はプレーの順序を確認するだけで短時間で終わるのだが、実際にパスも投げて例年以上に入念なプレーの確認をしていて、初戦に向けて少しでも精度を上げて臨みたいという意志が感じられた。
それは練習後のハドルでの大村コーチや光藤主将の言葉にもにじみ出ていた。「試合だからといっても、特別のことができるわけではない。練習でやったことしかできない。試合で失敗することがあったとすれば、それは練習できちんとやっていないからだ。やったことをしっかり発揮しよう」。そんな言葉である。
練習後は全員でグラウンドのごみ拾い。前夜の台風の影響で、小さな木の葉があちこちに飛び散っていたが、約200人の部員が手分けして拾い集めると、あっという間に美しくなった。これもまた試合前恒例の作業だが、こういうことをきちんとするところにも、ファイターズというチームのたたずまいが現れる。本当は簡単な掃除用具を準備して、側溝の泥まで片付けて欲しい所だが、これはこれからの課題としておこう。
さあ、今夜は2018年度チームのキックオフ。全員が「FIGHT ON」を体現する試合である。11月18日の立命戦まで「負けたら終わり」の厳しい戦いが2週間ごとに続く。前年度の成績がどうだとか、卒業したメンバーがどれだけいるかとかは関係ない。目の前の相手に必ず勝つという戦いを続けてこそ、西日本代表決定戦、から甲子園ボウル、ライスボウルへの道は開ける。日本1を掲げた以上は、どの試合も一つとして負けられない。目の前の相手に絶対に勝つという強い気持ちでシーズンに臨んでいただきたい。
開幕に先立って24日午前、僕も毎年恒例の儀式をしっかり務めてきた。前夜からの台風が一段落するのを待ちかねて大学に足を運び、平郡君のヤマモモの木に手を合わせ、上ヶ原の八幡神社に勝利を祈願する。ついでに時計台に向かっても一礼し、選手諸君の健闘を祈る。賽銭の代わりという訳ではないけれども、財務課の窓口に足を運んで、ファイターズのためにささやかな寄付も届けた。
毎年のことだから旧知の財務課長も「ありがとうございます。いよいよですね」と声を掛けてくれる。彼は水泳部のコーチを務めているが、会うたびにファイターズ話で盛り上がる。
彼だけではない。院長をはじめ、僕の知っている大学職員の全員がファイターズには特別の感情を抱いておられるのだろう。顔を合わせるたびに、それぞれの言葉で応援の気持ちを伝えていただける。その言葉を聞くたびに、関西学院には数多くの課外活動団体があるが、その中でもファイターズは別格、という感慨を抱く。それもまた、現役の部員はもちろん歴代の部員、関係者が築き上げてきたチームの伝統に対する敬意の表れだろう。ありがたいことであり、僕もまたチームへの愛着が一層深くなる。
グラウンドでは、台風の余波が収まるのを待って、午前中からゲーム前の全体練習をしていた。23日深夜には、近畿地方に大きな被害をもたらせた台風20号が兵庫県に再上陸し、大雨と強風で各地に被害をもたらせたが、ファイターズはその間隙をついて23日も24日も練習を続けた。23日は、通常なら夕方からの練習時間を早朝からに切り替え、台風の影響が出る前に練習を終える。24日も台風の影響が収まるのを待って午前10時半から練習開始。固定観念に捕らわれないファイターズならではのやりくりで練習の時間を確保し、試合に備えていた。いつもながらの柔軟なチーム運営に驚きながら、全体練習を見せていただいた。
さらに昨日の試合前日の練習にも強い印象を受けた。いつもなら試合の前日はプレーの順序を確認するだけで短時間で終わるのだが、実際にパスも投げて例年以上に入念なプレーの確認をしていて、初戦に向けて少しでも精度を上げて臨みたいという意志が感じられた。
それは練習後のハドルでの大村コーチや光藤主将の言葉にもにじみ出ていた。「試合だからといっても、特別のことができるわけではない。練習でやったことしかできない。試合で失敗することがあったとすれば、それは練習できちんとやっていないからだ。やったことをしっかり発揮しよう」。そんな言葉である。
練習後は全員でグラウンドのごみ拾い。前夜の台風の影響で、小さな木の葉があちこちに飛び散っていたが、約200人の部員が手分けして拾い集めると、あっという間に美しくなった。これもまた試合前恒例の作業だが、こういうことをきちんとするところにも、ファイターズというチームのたたずまいが現れる。本当は簡単な掃除用具を準備して、側溝の泥まで片付けて欲しい所だが、これはこれからの課題としておこう。
さあ、今夜は2018年度チームのキックオフ。全員が「FIGHT ON」を体現する試合である。11月18日の立命戦まで「負けたら終わり」の厳しい戦いが2週間ごとに続く。前年度の成績がどうだとか、卒業したメンバーがどれだけいるかとかは関係ない。目の前の相手に必ず勝つという戦いを続けてこそ、西日本代表決定戦、から甲子園ボウル、ライスボウルへの道は開ける。日本1を掲げた以上は、どの試合も一つとして負けられない。目の前の相手に絶対に勝つという強い気持ちでシーズンに臨んでいただきたい。
(14)愛されるチーム
投稿日時:2018/08/18(土) 17:21
8月16日、平郡雷太君に会いに、ファイターズが夏合宿をしている東鉢伏の「かねいちや」を訪れた。
朝6時に到着する。涼しい。途中、高速道路脇の表示板には24度とあったから、高原の中腹にあるグラウンド付近は20度を少し上回る程度だろう。長袖のシャツを着ていても肌寒い。
まだ朝食前というのに、グラウンドではJVのメンバーが出て早朝練習の準備運動をしている。4年生も次々に宿舎から出て、練習用具を整えている。いつもながらの夏合宿の光景である。
グラウンドへ降りる手前の机の上には、例年通り平郡君への「誓いの言葉」を刻んだプレートが置かれている。この言葉を読むたびに、在りし日の彼の姿が浮かんでくる。2003年8月16日、ここで合宿中、不慮の事故で帰らぬ人となった彼を偲んで手を合わせ、しばらく黙祷することが僕にとっての大切な時間である。それは、後輩の諸君が日々、切磋琢磨している第3フィールドに出掛けるたびに、平郡君のヤマモモに手を合わせるのと同様、僕とファイターズとを結び付けている「誓いの絆」といってもよい。
練習はてきぱきと進み、無駄な時間は少しもない。JVのメンバーから順次早朝練習を切り上げて朝食。それが終わると小休止の後、今度はVのメンバーから朝の練習が始まる。10日からスタートした合宿も仕上げの段階とあって、恐ろしく密度が濃い。内容も午前中の練習とは思えないほど複雑だ。
聞けば、夕方からは雷が発生する予報が出ているとのことで、夕方の練習と朝の練習のメニューを入れ替えたそうだ。
いまはリーグ戦の開幕を目の前に控えた時期だが、照準は開幕戦ではない。秋のリーグを勝ち抜き、甲子園ボウルでも勝ってライスボウル制覇までを見据えた戦いである。今季はどんな戦いをするのか、どんな風にして強力なライバルたちに勝ち抜いていくか。それを見据えた練習である。シーズンが始まれば手が回らないような課題にじっくりと取り組む数少ない機会でもある。
当然、攻守とも求められる水準は高い。チームメート同士の練習であっても、第一プレーから白熱している。オフェンスが必死ならディフェンスも必死だ。本気で向き合い、本気でぶつかり合う。当然、けが人も出る。それでも、手加減はできない。上ヶ原での練習も密度は濃いが、鉢伏の合宿での練習の密度はさらに濃い。
毎年のことだが、この合宿には多数の卒業生が参加してくれる。今春、卒業したばかりのメンバーから監督やコーチと同じ世代の卒業生まで、メンバーは日々異なるが多くの卒業生が駆けつけ、差し入れを贈ったり、練習台を務めたりしてくれる。
お盆休みにも多くの若手が訪ねてくれたそうだが、僕がお邪魔した16日にも、懐かしい顔が何人も見えた。挨拶を交わしただけでも、14年卒の吉原直人、15年卒の木下豪大、田中雄大、橋本亮、17年卒の井若大知、高松生、山下司、片山薫平、松本和樹氏らの顔が見えた。
今春、卒業したばかりのメンバーは、普段の上ヶ原の練習にも顔を出し、コーチと同様の役割を果たしてくれているが、新鮮だったのは、いまも社会人のトップチームでプレーしている田中氏や吉原氏ら。いそいそと防具を着け、練習台を務めてくれた。田中氏に至っては、本来のディフェンスバックだけでなく、レシーバーのメンバーにも入って、全日本級の動きを惜しみなく披露してくれた。
さすがは「会費納入率8割」というOB会の構成員である。若手の社会人として日々、職務に精進しながら、つかの間の休日を返上して鉢伏の合宿に参加して後輩を激励し、鍛えてくれる。これは毎年のように見掛ける光景だが、彼らがこのチームを「魂のふるさと」と思い、手伝えることは何でもしようという気持ちになってくれているからだろう。
お金のある者はお金を、知恵のある者は知恵を、汗をかく者は汗を、それぞれ惜しみなく次の世代に注ぎ込む卒業生。そんな卒業生たちに「このチームだからこそお手伝いがしたい」と思わせる現役の部員たちとそれを支える監督やコーチ、指導者らのたたずまい。双方が渾然一体となって存在するのがファイターズである。それは歴代のOB、OG、そして指導者らが営々と築いてきた文化であり、日本の学生スポーツ界でも例を見ない組織の在り方だろう。
いま、いろんな面で学生スポーツの在り方の根本が問われている。こうした時期だからこそ、ファイターズの活動と組織にもっと光を当てる必要があるのではないか。この夏の合宿を見て、その思いはさらに強くなった。
朝6時に到着する。涼しい。途中、高速道路脇の表示板には24度とあったから、高原の中腹にあるグラウンド付近は20度を少し上回る程度だろう。長袖のシャツを着ていても肌寒い。
まだ朝食前というのに、グラウンドではJVのメンバーが出て早朝練習の準備運動をしている。4年生も次々に宿舎から出て、練習用具を整えている。いつもながらの夏合宿の光景である。
グラウンドへ降りる手前の机の上には、例年通り平郡君への「誓いの言葉」を刻んだプレートが置かれている。この言葉を読むたびに、在りし日の彼の姿が浮かんでくる。2003年8月16日、ここで合宿中、不慮の事故で帰らぬ人となった彼を偲んで手を合わせ、しばらく黙祷することが僕にとっての大切な時間である。それは、後輩の諸君が日々、切磋琢磨している第3フィールドに出掛けるたびに、平郡君のヤマモモに手を合わせるのと同様、僕とファイターズとを結び付けている「誓いの絆」といってもよい。
練習はてきぱきと進み、無駄な時間は少しもない。JVのメンバーから順次早朝練習を切り上げて朝食。それが終わると小休止の後、今度はVのメンバーから朝の練習が始まる。10日からスタートした合宿も仕上げの段階とあって、恐ろしく密度が濃い。内容も午前中の練習とは思えないほど複雑だ。
聞けば、夕方からは雷が発生する予報が出ているとのことで、夕方の練習と朝の練習のメニューを入れ替えたそうだ。
いまはリーグ戦の開幕を目の前に控えた時期だが、照準は開幕戦ではない。秋のリーグを勝ち抜き、甲子園ボウルでも勝ってライスボウル制覇までを見据えた戦いである。今季はどんな戦いをするのか、どんな風にして強力なライバルたちに勝ち抜いていくか。それを見据えた練習である。シーズンが始まれば手が回らないような課題にじっくりと取り組む数少ない機会でもある。
当然、攻守とも求められる水準は高い。チームメート同士の練習であっても、第一プレーから白熱している。オフェンスが必死ならディフェンスも必死だ。本気で向き合い、本気でぶつかり合う。当然、けが人も出る。それでも、手加減はできない。上ヶ原での練習も密度は濃いが、鉢伏の合宿での練習の密度はさらに濃い。
毎年のことだが、この合宿には多数の卒業生が参加してくれる。今春、卒業したばかりのメンバーから監督やコーチと同じ世代の卒業生まで、メンバーは日々異なるが多くの卒業生が駆けつけ、差し入れを贈ったり、練習台を務めたりしてくれる。
お盆休みにも多くの若手が訪ねてくれたそうだが、僕がお邪魔した16日にも、懐かしい顔が何人も見えた。挨拶を交わしただけでも、14年卒の吉原直人、15年卒の木下豪大、田中雄大、橋本亮、17年卒の井若大知、高松生、山下司、片山薫平、松本和樹氏らの顔が見えた。
今春、卒業したばかりのメンバーは、普段の上ヶ原の練習にも顔を出し、コーチと同様の役割を果たしてくれているが、新鮮だったのは、いまも社会人のトップチームでプレーしている田中氏や吉原氏ら。いそいそと防具を着け、練習台を務めてくれた。田中氏に至っては、本来のディフェンスバックだけでなく、レシーバーのメンバーにも入って、全日本級の動きを惜しみなく披露してくれた。
さすがは「会費納入率8割」というOB会の構成員である。若手の社会人として日々、職務に精進しながら、つかの間の休日を返上して鉢伏の合宿に参加して後輩を激励し、鍛えてくれる。これは毎年のように見掛ける光景だが、彼らがこのチームを「魂のふるさと」と思い、手伝えることは何でもしようという気持ちになってくれているからだろう。
お金のある者はお金を、知恵のある者は知恵を、汗をかく者は汗を、それぞれ惜しみなく次の世代に注ぎ込む卒業生。そんな卒業生たちに「このチームだからこそお手伝いがしたい」と思わせる現役の部員たちとそれを支える監督やコーチ、指導者らのたたずまい。双方が渾然一体となって存在するのがファイターズである。それは歴代のOB、OG、そして指導者らが営々と築いてきた文化であり、日本の学生スポーツ界でも例を見ない組織の在り方だろう。
いま、いろんな面で学生スポーツの在り方の根本が問われている。こうした時期だからこそ、ファイターズの活動と組織にもっと光を当てる必要があるのではないか。この夏の合宿を見て、その思いはさらに強くなった。
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