石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

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(17)ゲームを見る目

投稿日時:2018/09/10(月) 08:57

 関西リーグ第2戦は8日の夕方5時にキックオフ。夜間照明の下で始まったが、王子スタジアムの照明は暗い。その上、グラウンドは雨で濡れているし、試合中も雨が降ったり止んだり。なかなかの悪条件で始まった。
 それでも試合は熱かった。まずはファイターズのレシーブで始まった第1シリーズ。自陣25ヤードからの攻撃だったが、第1、第2プレーともに通らず、第3ダウン10ヤードという苦しい立ち上がりだったが、ここでこの日も先発したQB奥野がWR阿部にピンポイントのミドルパスを通してダウン更新。次の攻撃も同じく阿部にパスを通して14ヤード。一つ奥野のキーププレーを挟んで再度、阿部にミドルパスをヒットさせ、あっというまにゴール前18ヤード。ここからはRB三宅のラン、同じく中村のランで陣地を進め、残り1ヤードを中村が走り抜けてTD。K安藤のキックも決まって7-0。
 次の神戸大の攻撃を守備陣が完封して再びファイターズの攻撃。今度も奥野から阿部へのパスで活路を開き、さらには久々に登場したWR小田へのパスを立て続けにヒットさせて再びゴール前。今度は中村が中央に見事なダイブを決めて14-0。2度の攻撃シリーズを2度ともTDで締めくくる完璧な立ち上がりだった。
 しかしながら、ここからがもたつく。QBとレシーバーの呼吸が合わず、せっかくレシーバーが相手を抜き去っているのに、肝心のパスが短く、相手に奪われてしまったり、捕ればそのまま走り切ってTDという場面をつくりながら胸に入ったボールを確保出来なかったり。投げる方にも受ける方にもミスが出て、決定的なチャンスを2度も失う。
 ファイターズが自滅しそうな場面だったが、今度は守備陣が奮起。DB畑中が見事な個人技で相手パスを奪い取って再び相手陣31ヤードからの攻撃。ここで、ファイターズRB陣で一番のスピードを誇る渡邊がドロープレーからのランで一気にゴールまで走り込んでTD。自滅に近い形で相手に渡した試合の流れを一気に取り戻した。
 第3Qに入ると、ファイターズQBは西野に交代。初戦ではレシーバーとして出場してほとんど活躍の場面がなかったが、この日は本職のQBとしての登場である。自陣40ヤード付近からの攻撃だったが、立て続けにキーププレーで連続のダウン更新。相手がQBのランを警戒したと思えば次はWR小田へのロングパス。それを半身になりながら小田が好捕。わずか3プレーでゴール前5ヤードに攻め込んだ。浮き足立つ相手を尻目に、ここはRB三宅が走り込んでTD。28-0とリードを広げる。
 こうなると、試合はファイターズのペース。次々と交代選手を投入して試合の雰囲気に馴染ませる。期待の1年生諸君も次々と登場し、結構な動きを披露してくれたのが頼もしかった。とりわけ目立ったのは、ランプレーのたびにボールキャリアになり、相手のディフェンスをパワーで突破して2度のTDを決めたRB前田(高等部)。彼は高校の頃から注目されていた選手だが、大学に入って一段と力を付け、同じポジションの先輩、山口の交代要員の候補の一人になっている。
 OLではセンターの朝枝(清教学園)。彼は学年で1番の元気印で、JV戦でもOLの中心になって士気を鼓舞していた。この日も4年生のように頭をつるつるにそり上げて登場。気合いの入ったところを見せつけた。2番手のリターナーとして起用された鏡味(同志社国際)も、小柄だが気持ちの勝ったプレーで存在感を発揮した。
 ディフェンスで目に付いたのはDLの青木(追手門)、LBの赤倉、北川(ともに佼成学園)、DBの竹原(追手門)。それぞれがしばしばプレーに絡み、1年生とは思えないほどのセンスの良さを見せてくれた。北川にいたっては2試合連続のインターセプト。ともに試合の行方が決まってからのプレーだったが、フットボールセンスの良さを見せてくれた。
 試合は42-0。ファイターズの完勝と見えたが、この結果に対する監督やヘッドコーチの評価は素っ気なかった。
 「相手の守備陣を考えたら、これぐらいできて当たり前。問題は、立命の守備陣を相手に勝負できるかどうか。まだまだ鍛えなあきません」と鳥内監督。大村ヘッドコーチからも「相手が疲れてからのプレーは参考になりませんよ。こんなんでいい気になっていたら痛い目にあいます」という言葉が返ってきた。
 スタンドから試合を眺め、その展開に一喜一憂している僕と、リーグ戦のこれからを見据えて、現状を冷静に分析する監督やコーチ。立場の違いといえばそれまでだが、常に足りない所に目を向け、それを克服するためにはどうするか。あるいは、いまは目に見えていない選手の潜在的な可能性を見つけ、その長所をどうすれば生かせるか。そういった点に焦点を当て、一瞬の油断もなく試合展開を見つめ、知恵をしぼっている人々。そうした存在がこのチームを支えているのである。
 スタンドから眺めている僕にとっても、ゲームを見る目が1段階上がったように思える試合後の談話だった。

(16)初戦の収穫

投稿日時:2018/08/30(木) 18:25

 今シーズンの初戦、近大との戦いは31-7でファイターズの勝利。順当といえば順当であり、課題山積といえばその通りである。
 なんせ相手は、今季から1部に復帰したばかりのチームであり、現在のチーム力を計る情報がほとんどない。それでも、かつては毎年のように厳しい戦いを繰り広げた強敵であり、チーム力が十分に整わない時期でも、必ず突出したタレントを有して個人技で攻め込まれたことが何度もある。
 相手はどんな戦力を整え、どんな戦いを仕掛けてくるのか。情報が少ない相手に、ファイターズの諸君がどんな戦いをしてくれるのか。チームはどの程度まで仕上がっているのか。卒業生が抜けた穴を埋めるのはどんなメンバーか。興味津々でキックオフを待った。
 コイントスに勝ったファイターズが守備から入り、近大の攻撃を受けて立つ。
 ところが、相手は自陣25ヤードからは怖めず臆せず、思い切ったパスプレーで攻め込んでくる。合間に取り入れるランプレーとの組み合わせがよく、あれよあれよという間に2度もダウンを更新。気がつけばファイターズのゴール前、27ヤードまで攻め込まれている。ここはLB海崎の強烈なタックルなどで食い止め、相手のフィールドゴールの失敗にも助けられて攻守交代。
 代わってファイターズの攻撃は自陣22ヤードから。近大の歯切れの良い攻撃に浮き足立っていたチームだったが、この試合で先発した奥野が軽業師のような動きで突破口を開く。自身のキーププレーを中心に、RB山口、中村のランプレーで陣地を進め、着実にダウンを更新。最後はゴール前3ヤードからRB山口がパワーで走り込んでTD。K安藤のキックも決まって7-0とリードする。
 2Qに入ってすぐ、今度はRB山口が個人技で突破口を開く。自陣42ヤード付近でボールを受け取った瞬間から一気に加速、相手DBを次々と交わし、抜き去って58ヤードを独走。見事にTDに持ち込んだ。まさに個人技。スピードをほとんど落とさないままにカットを切るから、相手守備陣も捕らえようがない。昨シーズンまでは、相手を抜き去っても、なかなかタッチダウンまでは持ち込めなかったが、4年生になった今年はひと味違う。よりパワーアップした走りで、ファンの声援に応えた。
 試合後のインタビューで「僕がチームを勝たせます」と力強く言い切っていたが、本当に頼もしいエースである。
 このプレーで守備陣も落ち着きを取り戻し、14-0で前半を終了。3Q半ばにはK安藤が47ヤードのFGを決めて17-0。さらに4Qの初めにはファイターズの蹴ったパントを相手レシーバーがファンブル、ゴール内に転がったボールをパントチームの弓岡が抑え、ファンブルリカバーで7点を追加する。
 ここでようやく、ファイターズも交代メンバーをグラウンドに送り出す余裕が生まれた。しかし、当初から試合に出ていたメンバーは落ち着いているが、交代メンバーはそうはいかない。相手のパスプレーが止まらず、ファイターズ守備陣にパーソナルファールの反則もあって、簡単にゴール前までボールを持ち込まれ、あれよあれよという間にTD。
 結局、終わってみれば31-7。試合には勝ったが、もう一つすっきりしない内容だった。なぜか。理由はいくつかある。まずはパスを思い切って投げ込んできた近大の攻撃を守備陣が止めきれなかったこと。攻守ともに不必要な反則が続出し、せっかくのリズムを自ら壊していたこと。オフェンスラインが割られ、QBやボールキャリアが孤立する場面が何度も続いたこと。先発メンバーと交代メンバーとの差が大きく、せっかくのプレーコールが得点に結びつかなかったこと。物足りなかった点を挙げていけば、片手の指では足りそうにない。
 それもこれも「練習でできていないことは試合でもできない」(大村コーチ)ということではないか。それが明確になったことが、この日一番の収穫であろう。
 上級生はもちろん、下級生にも僕が期待していた通りに動けていた選手は少なくない。チャンスをつかもうと必死にボールに食らいつく姿も見えた。ファイターズのパントを相手がファンブルしたときのキッキングチームの基本に忠実な動きも素晴らしかった。全員がそれぞれの役割に集中していたからこそ、ご褒美のようなTDが転がり込んできたのだ。
 忘れてならないのは、後半、試合の行方が見えてから交代メンバーとして登場したフレッシュマンの物怖じしない動きも魅力的だった。初登場でインターセプトを披露したLBの北川をはじめ、同じLBの赤倉、DLの青木、DBの竹原らは今後、出場機会が増えるにつれてその潜在能力を発揮してくれるに違いない。それもまたこの試合の収穫である。
 マイナスの収穫は確実につぶし、プラスの収穫は大いに伸ばす。次の試合は、そんなところに注目して応援したい。
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